最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナ 長引く後遺症を引き起こす4つの危険因子

These Four Factors Can Determine If You Get Long COVID

2022年1月27日(木)15時04分
エリン・ブレイディ
コロナ後遺症イメージ

コロナから回復した後のしつこい後遺症の研究はまだ始まったばかり Nevena1987-iStock.

<最新研究で原因が絞り込まれたことは、長くて辛い後遺症の治療法を解明する第一歩になる>

新型コロナウイルス感染症では回復後にも長く続く後遺症が多くの患者を苦しめているが、最新の研究で後遺症の発症リスクを予測できる4つ危険因子が明らかにされた。

査読付きの科学誌セルのオンライン版に1月26日に掲載された論文「新型コロナウイルス感染症の急性期後に発症する後遺症の複数の早期要因」は、「ロングCOVID」と呼ばれる長期にわたる新型コロナの後遺症のリスク要因を調べた研究だ。回復後も長く続く症状は、味覚障害や息切れ、集中力の低下や記憶障害など多岐にわたる。

世界中の多数の研究者と連携し、209人の患者のデータを解析したこの研究で、長期の後遺症をもたらす重要な要因が4つ浮び上がった。2型糖尿病、新型コロナウイルス血症、エプスタイン・バー(EB)ウイルス血症、特定の自己抗体の存在だ。

新型コロナウイルス血症は、新型コロナウイルスが患者の血液に侵入することで引き起こされる。新型コロナウイルスは「血液も含め細胞内で増殖する。ウイルスが血液に侵入すると、血液の環境が変わり......酸素など体の正常な機能に不可欠な成分の血中値が変わる」と、米国立衛生研究所(NIH)は警告している。回復後も後遺症が続く患者では、血漿中にウイルスが長くとどまり続けていることがある。

重症化リスクが後遺症も招く

一方、EBウイルスはよくあるヘルぺスウイルスの1種で、倦怠感やリンパ節の腫れの原因となる。米疾病対策センター(CDC)によると、EBウイルスは休眠状態で「体内に潜伏している」が、免疫機能の低下に伴い活性化することがある。

英オンライン科学誌サンエインス・リポーツに掲載された論文は、EBウイルスの再活性化は新型コロナウイルス感染症の重症化と関連があると指摘している。それに加え、後遺症を引き起こす可能性もあることが、新たな解析で分かった。「EBウイルスの再活性化と新型コロナウイルス感染症の後遺症との関連性が、抗体価の測定を通じ、間接的に推測された」と、セル掲載の新論文は報告している。

新論文はさらに、特定の自己抗体の存在は「免疫不全及び新型コロナウイルス感染症による死亡」と関連があると報告されているが、「新型コロナウイルス感染症の後遺症との関連性も疑われている」と述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアのミサイル「ICBMでない」と西側当局者、情

ワールド

トルコ中銀、主要金利50%に据え置き 12月の利下

ワールド

レバノン、停戦案修正を要求 イスラエルの即時撤退と

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中