午前のドルは141円後半へ下落、懸念後退でも不透明感 日米財務相会談控え

午前のドルは朝方の143円前半から141円後半へ1円以上下落した。2016年1月撮影(2025年 ロイター/Jason Lee)
Atsuko Aoyama
[東京 23日 ロイター] - 午前のドルは朝方の143円前半から141円後半へ1円以上下落した。米中貿易摩擦の懸念後退や米連邦準備理事会(FRB)議長解任を巡るトランプ米大統領の発言撤回を受けてドルは前日の安値から3円超急伸したが、日経平均の伸び悩みなどリスク心理改善には遠く、日米財務相会談を巡る思惑も重しとなって再び下げが強まった。仲値では輸出勢が売りを出した可能性を指摘する声もあった。
トランプ氏の発言などを受けて、ドルは前日日中に付けた7カ月ぶり安値の139.88円から3円以上切り返し、朝方の取引で143.21円まで買われた。その後、仲値公示を挟んで下げが加速、一時141.67円まで売られた。
トランプ氏の発言などでいったんは買い戻しが入ったものの、不透明感は依然残っており「投機筋が下を攻めているため、下方向の材料が出れば一気に水準が変わる」(国内銀の為替ディーラー)との見方がある。「企業や投資家が見方を変えているとみられる」(同)として、輸出勢が売りを出している可能性を指摘する声があった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏は、投機筋の円買いが膨れ上がっており、米中貿易摩擦の懸念後退などで「いったん巻き戻された」ものの、日米財務相会談を控えていることもあり「巻き戻しが一気に加速することにはならない」との見方を示す。
植野氏は、今週の実施が見込まれる日米財務相会談について、ベッセント財務長官が「ドル/円相場で特定の方向感やレベルを目指すような合意を求めてくるとは思えない」と話し、従来の主要7カ国(G7)合意を踏襲する内容になると予想した。
トランプ大統領は前日、中国との貿易交渉には非常に好意的に臨むとし、関税率も145%にはならないだろうと発言。パウエル議長を解任する意向がないことも明らかにしていた。