最新記事

欧州

2021年、スペイン目指した移民4400人が海で犠牲に より危険なルート選び前年から倍増

2022年1月4日(火)16時33分
カナリア諸島のアルグイネグインで救助された移民

移民の海難事故を追跡している監視団体カミナンド・フロンテラスは3日、2021年にスペインを目指した移民のうち、少なくとも205人の子どもを含む4400人以上が海で死亡したと明らかにした。犠牲者は前年の倍以上で、18年の追跡開始以来最多となった。写真はカナリア諸島のアルグイネグインで昨年11月撮影(2022年 ロイター/BORJA SUAREZ)

移民の海難事故を追跡している監視団体カミナンド・フロンテラスは3日、2021年にスペインを目指した移民のうち、少なくとも205人の子どもを含む4400人以上が海で死亡したと明らかにした。犠牲者は前年の倍以上で、18年の追跡開始以来最多となった。

犠牲者が急増した原因として、より危険なルートの選択、粗悪なボート、一部船舶が移民救助に消極的なことなどを挙げた。

スペインの公式統計によると、昨年は3万9000人が海路あるいは陸路でスペインに不法入国しており、前年と同水準だった。

2020年以降、スペインを目指す移民はアフリカ沖の同国領の島に向かうのが主流となり、スペイン本土へ渡るルートの割合は大きく低下している。カミナンド・フロンテラスによると、昨年12月20日時点でスペインに向かう途上で死亡あるいは行方不明となった移民の90%以上がカナリア諸島への海路で発生した124件の船舶事故に遭遇している。

カミナンド・フロンテラスは各船舶の死者を追跡し、海上で1カ月以上行方不明だった場合は死亡と判断している。死者の95%近くを行方不明者が占める。

国際移住機関(IOM)は、昨年初めから12月22日までにカナリア諸島への途上で死亡または行方不明となった人は14年以来最多の955人だったと発表。数字は公式統計や報道、カミナンド・フロンテラスなどの団体から集計しているが、控え目な数字であり実際にはさらに多いと可能性があるの見解を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中