夏から冬へ14年ぶりに灯される聖火 北京五輪に見る中国の変貌とは
情報セキュリティを心配する選手団の中には、プリペイドスマートフォンの持参を呼びかけているところもある。
選手や人権保護団体は、中国滞在中に政治的に微妙な話題について発言するのは危険だと警告している。
中国の著名な女性プロテニス選手、彭帥さんが中国最高指導部の元メンバーに性的関係を強要されたと訴え、その後一時所在が分からなくなったスキャンダルも中国批判に拍車を掛けた。
米国のある五輪選手はロイターの取材に、人権についての発言は自分の安全を脅かすことになるため、控えるつもりだと明かした。
「中国は自分たちにとって不愉快な発言を抑え込むために極端な手段も辞さないという姿勢を露わにしており、最近では彭帥さんの事件からもそれが分かる」と言う。
国際オリンピック委員会(IOC)は、選手は「バブル」内で行われる記者会見やインタビューで自由に意見を述べることができるが、競技中やメダル授与式ではできないとの方針を示している。一方、中国の当局者は最近、選手が五輪の精神や中国の規則に違反する行動を取れば罰せられる可能性があると述べた。
安全な選択肢
2022年冬季五輪の開催地選びはオスロなど複数の有力候補が辞退し、カザフスタンのアルマトイと北京の一騎打ちになったが、15年に北京がアルマトイを破った。ウィンタースポーツの歴史が浅く、雪も少ないにもかかわらず、IOCは安全な選択肢として北京を選んだ。
中国は、大規模な人口造雪による環境への影響が懸念されるものの、効率的に準備を進め、IOCの信頼に応えた。
1年遅れになった20年東京大会と異なり、北京大会は何が起こっても開催が大きく疑問視されたことはなかった。
大会ボランティアのイェ・ウェンシャオユーさん(20歳)は「08年大会はすごく壮大で、世界に向けて華やかなショーを見せてくれた」と振り返った。「今年の北京大会はとてもシンプルで、低炭素なものになる。でも当然ながら、そんなことと関係なく素晴らしい大会になるだろう」
(Tony Munroe記者)
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