インド太平洋に安倍晋三が残した「遺産」
ABE’S SUCCESS
結局、安倍は中国に関しては究極の現実論者だった。
緊張緩和とリスク軽減には2国間関与が不可欠だが、日本の平和と繁栄を維持するには、アメリカとインドをはじめ他の大国との強固な経済・安保同盟も必要だ。その裏打ちがあって初めて、中国は日本を東アジアにおける対等なパートナーとして扱うだろう。
現在、この安倍の第3の柱は崩れたかに見える。バイデン政権の説得で菅は安全保障への日本の関与を強化し、日中関係は過去最悪になった。
幸い、後任の岸田文雄首相は策を巡らす余地があるかもしれない。安倍の戦略的先見性のおかげで、日本はいま地政学的に中国より優位にある。
日本が中国を必要とする以上に中国は日本を必要としている。デカップリング(経済関係の断絶)と封じ込めというアメリカの戦略の裏をかくには、日本との関係維持が不可欠なのだ。
そのため、緊張緩和に伴い、中国側から関係修復に乗り出す可能性は十分ある。そうした自発的な動きはアジア情勢改善につながるだろう。

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら