最新記事

中国

彭帥さん、告白文を書いたことを認め、「性的侵害」を否定:シンガポール紙に肉声と動画

2021年12月21日(火)12時59分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

記者は、CGTN(中国グローバル・テレビ・ネットワーク)がツイッターで公開した、彭帥からWTA(女子テニス協会)宛てに書いたとされる英語のメールが、本人が自身の意思で書いたものか否かを聞き出そうとしていたのだが、その質問を遮って彭帥は強い口調で以下のように述べている(文字起こしは筆者)。

──まず最初に、私が強調したい点は、非常に重要なんです。私は一度も、誰かが私に性的侵害をしたと言ったことはないし、書いたこともありません。この点は、何としても強調し明確にしなければなりません。それから、あのウェイボーに書いたことですが、あれは私個人のプライバシー問題で。あれは既に、きっとこれは、皆さんが多くの誤解をしていて、だから...、いかなる...、つまり...、こんな歪んだ...、こんな解釈など、存在しないのです(引用ここまで)。

話し言葉なので、主語述語がチグハグと行ったり来たりすることは誰でもあることとは言え、この言い回しは、11月2日のウェイボーに書かれた文章を想起させ、なおさらのこと、あの文章は間違いなく、彭帥自身が書いたものであることを確信させた。

加えて、彼女が「性的侵害」という言葉を口にした時の表情をご覧いただきたい。

中国語では「性侵」と表現し「シンチン」と発音するが、「2:26」のところで、この発音を聞き取ることができれば、彼女が言いにくそうにしながら、しかし言った瞬間に頬を赤らめたのが見て取れる。張高麗との関係は真実だったということだろう。

それが表情に顕われてしまいながら、彭帥は「あのウェイボーのメッセージは確かに自分が書いたが、性的侵害(性侵)を受けたとは書いてない」と言っているのである。

これはつまり、「同意の上」でのことで、「性的暴力ではない」と明言したことになる。

彭帥は張高麗を「愛していた」

11月23日のコラム<女子テニス選手と張高麗元副総理との真相―習近平にとって深刻な理由>に貼り付けた彭帥が書いたウェイボーのメッセージには、彭帥が張高麗を「愛していた」ことを証拠づける表現がいくつかある。

その中の一つを以下に示す。

──7年前のあなたへのあの感情が蘇(よみがえ)ることに怯え慌てふためきながら、私は同意したのです......そう、つまり、私たちは性関係を持ったのです。感情というものは複雑で、言葉で表現できないものですが、あの日から私はあなたへの愛を再び打ち開き、その後あなたと一緒に過ごした日々の中で、付き合うだけなら、あなたは本当にとっても、とっても良い人で、私に対してもとっても良くしてくれて、私たちは近代史から古代に至るまでおしゃべりしたり、あなたは私に万物の知識や経済学とか哲学なども話してくれて話が尽きませんでした。一緒にチェスをしたり、歌を歌ったり、卓球やビリヤードをしたり、特にテニスのことになると、私たちは永遠に、いつまでも楽しく過ごせると思ったし、性格だって、あんなに気が合うので、何でもうまくいくような気がしました(引用ここまで)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米副大統領、グリーンランド訪問 「デンマークの保護

ビジネス

米ミシガン大消費者調査、5年先インフレ予想4.1%

ワールド

米関税に「断固たる対抗措置」、中国国営TVが短文サ

ビジネス

米2月PCE価格+2.5%、予想と一致 スタグフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中