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櫻井翔と戦争の記憶

『櫻井翔と戦争の記憶』特集に掲載、戦没した親族の「軍歴」を知る方法

2021年12月20日(月)18時30分
小暮聡子(本誌記者)

『櫻井翔と戦争の記憶』特集は、ニューズウィーク日本版12月14日号/21日号に2週連続特別企画として掲載 NEWSWEEK JAPAN

<戦没した親族の最期の足取りを調べるにはどうすればいいか。海軍の場合を中心に、厚労省から「軍歴」を入手する方法を紹介する>

ニューズウィーク日本版12月14日号/21日号に掲載の2週連続特別企画『櫻井翔と戦争の記憶』。櫻井翔さんが前後編合わせて2万5000字の特集記事を執筆する上で核となった調査の1つが、厚生労働省から海軍で戦没した「親族の軍歴」を入手したことだ。

詳細は本誌12月21日号32ページに書かれているが、そもそも親族の軍歴照会とはどんな手続きなのか。戦没した親族がいつどこで、どのような任務中に亡くなったのか足取りをたどりたい遺族にとっては貴重な史料となり得るため、ここに紹介できればと思う。

1) 親族の「軍歴」照会とは

親族の軍歴を政府から取り寄せる場合、照会する資料は海軍については「履歴原表」と呼ばれ、厚生労働省の管轄だ。陸軍については「兵籍簿」と呼ばれ、調査対象者(軍人)の本籍地がある都道府県庁に申請することになる。「履歴原表」や「兵籍簿」とは、終戦時における人事資料であり、申請するとその写し(コピー)が送られてくる。これらをまとめた俗称として、メディア等では「軍歴証明書」などと呼ばれることもある。

海軍の場合は、「厚労省社会・援護局援護・業務課 調査資料室」に申請することになり、詳しくは「旧陸海軍から引き継がれた資料の写し等の申請について」に紹介されている。厚労省では陸軍の資料も扱っているが、これは主には「留守名簿」という外地に行った部隊の名簿であり、軍人の氏名、本籍地、留守家族等の情報が記載されているものだ。

海軍に入ってから退役するまでの人事記録である履歴原表の一つ、「奉職履歴」には「〇年〇月〇日 任海軍中尉」であるとか、「〇年〇月〇日 第〇号海防艦に乗組」等、昇進についてや、いつどの艦に乗艦したか等の発令が手書きで記されている。また、厚労省に申請する際の調査事項として「軍歴について」のほかに「戦没状況について」と記載すると、厚労省からの回答では後者の調査結果も報告される。

「履歴原表」に記載されているのは基本的には人事発令であるため、いかなる作戦・任務中の戦死であったのかについて知るためには、乗艦していた艦名等から、当時の歴史的背景や従事していた作戦を別途、自分で調査する必要がある。

2) 申請に必要な書類/申請できる親族

厚労省に申請する場合の必要書類は次のとおり(加えて、厚労省HPからダウンロードできる「旧軍人軍属の個人情報開示申請書」の提出が必要)。

A 遺族(申請者)の身元確認書類:氏名及び住所が記載されている運転免許証又は健康保険証等のコピー
B 戸籍書類:遺族関係が確認できる戸籍(※婚姻等による改姓が確認できるものを含む)、死亡年月日(戦没年月日)が確認できる戸籍(除籍)
C 開示申請する日の30日以内に作成された遺族(申請者)の住民票

なお厚労省に申請できる遺族は、基本的に血族は6親等まで。申請者の配偶者の親族等、姻族の場合は3親等まで可能だ。ただし、各市町村で戸籍謄本を取得する際に「3親等まで」としているところもある。

調査対象者(軍人)と申請者の遺族関係を示す戸籍については、遠縁であると入手すべき戸籍が複数必要になるなど、やや複雑になる。

例えば今回、筆者(小暮)の親族にも海軍の戦没者がいたため、厚労省に「親族の海軍歴・戦没状況」についての照会手続きを実際に行ってみた。筆者の調査対象者は、父の伯父A氏だ(父の母親の兄)。厚労省への申請者は父として、父の本籍地の市役所にて「父と伯父の血縁関係を示す戸籍謄本」を申請した。これには2通の戸籍謄本が必要だった。

〇父の祖父の戸籍(筆者の曽祖父)
→この戸籍には、A氏の父と、その子供たちの名前が記載されている。父の母(筆者の祖母)と、父の伯父A氏が兄妹であることの証明になる。

〇父の戸籍
→この戸籍には、父の母(筆者の祖母)の名前が記載されている。厚労省への申請者(父)とその母が親子であることの証明になる。

なお、市役所での「戸籍謄抄本等交付申請書」には「本籍筆頭者」として「父の祖父の本籍地住所」を書く必要があった。念のため、戸籍を申請する親族の本籍地住所も控えていったほうがいいかもしれない。

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