台湾を見捨て「中国に付いた」ニカラグア...中国の外交圧力は強まっている
As Taiwan Joins U.S. Democracy Summit, It Loses Another Partner to China
「外交関係回復に関する共同声明」に署名したニカラグアと中国の代表(2021年12月10日) Yue Yuewei/Xinhua via REUTERS
<アメリカ主催の民主主義サミットに参加した台湾だが、その直後にニカラグアは台湾から中国に「乗り換える」ことを発表した>
台湾は2021年12月9日、アメリカが主催するオンライン会議「民主主義サミット」に参加し、国際舞台へと踏み出した。だが同時に、台湾は外交関係を結ぶ数少ない国のひとつだったニカラグアを失った。ニカラグアが、台湾と断交して中国と国交を結んだためだ。
中米のニカラグアは12月9日、台湾と断交し、中国と正式な外交関係を結ぶと発表した。その数時間前に、100カ国以上が参加して2日間の日程で行われる民主主義サミットが始まったばかりというタイミングだった。
「ニカラグア共和国は、中国は世界にひとつしかないと認識していることをここに宣言する」。同国外務大臣デニス・モンカダによる声明にはそう書かれている。「中華人民共和国は、中国すべてを代表する唯一の正当な政府であり、台湾は、譲渡できない中国領土の一部である」
中国共産党によって統治されている中国政府は、中国との国交を樹立するためには、対立する台湾の政権との外交関係を断たなければならないとしている。
モンカダは声明で、「ニカラグア共和国は本日、台湾との外交関係を断ち、あらゆる正式な結びつきを終了する」と述べた。
台湾と外交関係のある国は14カ国に
ニカラグアのこの発表により、台湾が外交関係を持つ国はひとつ減って14カ国となった。具体的には、中南米ではベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、パラグアイ。カリブ諸国ではハイチ、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、セントビンセント及びグレナディーン諸島。アジア太平洋ではナウル、マーシャル諸島、パラオ、ツバル。アフリカではエスワティニだ。バチカン市国の政府に相当するローマ教皇庁も、台湾と外交関係にある。
台湾の外交部は、ニカラグア政府の決定を受けて声明を出し、遺憾の意を表明した。ニカラグアの長期左派政権を率いるダニエル・オルテガ大統領は、1979年の反米ニカラグア革命で指導者の地位につくと、およそ10年にわたって第一次オルテガ政権を指揮。その後、内戦を経た2007年に大統領に再選され、以降は第二次オルテガ政権を維持している。
台湾外交部は12月10日付けの声明で、「ニカラグアとの外交が途絶えることは非常に遺憾だ」と述べた。「両国は、長年の友情と素晴らしい協力関係を築いて人々に恩恵をもたらしたが、オルテガ政権はそれを軽視した。台湾はこれからも屈することなく、世界のために尽力していく」
ニカラグアの決断は、国際社会での存在力を高めようとする台湾にとって打撃だ。米中間の緊張が高まるなかで、台湾のそうした姿勢は、アメリカとその同盟国など多くの国々の支持を集めてきた。