展望2022・コロナ対策 緊急事態宣言の基準は医療ひっ迫、情報発信で行動変容促す
小林氏は、感染症の影響で格差拡大がより深刻になり、生活がかなり苦しくなっている人と、それほど変わってない人に二極化していると指摘。「生活困窮者の線引きを明確にした上で給付金を実施し、社会の安定化を図った上でそれが消費に回ってくるという経済対策がいいのではないか」とも語った。
分配政策、財源の議論を丁寧に
年明け以降、国会で岸田政権の重要政策の審議が始まる。小林氏は、同政権が掲げる「新しい資本主義」の分配政策について理解を示す一方、「財源をしっかり議論してほしい」と注文もつけた。
例えば、マイナンバーの効果的な運用も一つの方策で「日本ではプライバシーや個人情報保護の観点から慎重な見方も多いが、銀行口座と紐づけしたマイナンバーで所得状況を把握し、適切な再分配政策をとれば、財源も抑えられるかもしれない」と提案する。
株式の配当や譲渡益にかかる金融所得課税の強化については、マーケットの活動を阻害することになるため、「フローの金融所得についてあまり制限をしないということは合理的だ」と述べた。
財政については「コロナ禍なのでしっかり出すことは理解できる」としつつ、「長期的な持続性についての議論も丁寧に行うべきだ」と述べた。「政府債務が膨れ上がり、徴税の能力を超えているとマーケットが感じるようになってくると、どこかの段階で円に対する信認の変化が起きて一段と円安が進み、大きなインフレが起きる。そういうリスクを感じている」と警鐘を鳴らした。
2022年は欧米と日本の金融政策の方向性の違いから円安圧力がかかりやすいとの見方も多い。小林氏は「来年の『ブラックスワン』はインフレではないか」とし、為替の円安が輸入物価の上昇を通じて家計所得にマイナスの影響を強めていく、そういう望ましくない形のインフレが起きる可能性に注意が必要だと話す。
小林氏は、最近、低金利の状態を何十年と続けることが不況を長引かせているのではないかという研究も出てきていると指摘。日銀が今まで20年ゼロ金利政策をとってきたことを踏まえれば「そろそろ政策を見直してもいいのではないか」と述べた。
*インタビューは23日に実施しました。
(杉山健太郎 編集:石田仁志)
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