2021年JC・JK流行語大賞を総括する──「第4次韓流ブーム」と「推し活」という2つのキーワード
さて、AKB48の選抜総選挙のシステムや『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』の様に自身の推しが表舞台に立つために、ファンは投票という形で支えなくてはならない。従来のアイドルが事務所の力によって彼ら彼女たちのメディアでの出演範囲を広げていたこととは大きく異なり、昨今のアイドル誕生のシステムでは、ファンからの支持がなければ日の目を浴びる事すらできないのである。そのため、特に『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』においてファンは、自身の推しが選考に残り、彼らがテレビに出続けることを自分の事の様に一喜一憂していたようだ13。かつて芸能人は憧れの象徴であったが、前述した通り参加者の大半は素人で元々は視聴者となんら変わらない若者であり、視聴者とは心理的距離が近いといえる。また、JC・JKを含むZ世代(1996~2012生まれ)を中心に応援消費や親近感消費への関心が高まっており、社会や他者への貢献意識が高く、応援したいと感じるものに消費する傾向がある。
ここで言う応援とはSNSで応援したい対象の情報を拡散したり、動画配信アプリで投げ銭(お金やお金に換金することができるアイテムなどを配信者へ送るシステム)をしたり、クラウドファンディング等も含まれるだろう。このような他人のために何かしたいという若者の共闘・応援の心理と自身の投票が参加者の夢を叶えるための助けになるというオーディション・システムの親和性から、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』は大ヒットし、そこからデビューした「INI」が流行したという事は何ら不思議な話ではない。同様にモノ部門1位の「Girls Planet 999」もファンからの投票で選考のふるいにかけられるオーディション番組で、アプリ部門5位の「UNIVERSE」を用いた投票システムであった。「INI」、「Girls Planet 999」、「UNIVERSE」の流行は、若者の「推す」という消費者心理にマッチしたことが要因であると筆者は考える。
モノ部門5位の「トレカデコ」そのものに関して言えば韓国で流行していたと言えるのかもしれないが、元々日本国内において推しのブロマイドや人形、アクリルスタンド等を持ち歩き写真に写り込ませる文化がオタクの間で成立しており、トレカデコもその派生に過ぎない(図1)。
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13 ファンの中には投票をクラスメイトや知人に頼んでいた者もいたようだ