パワーカップル世帯の動向──コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労
3──パワーカップル世帯の動向~コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労
1|共働き夫婦の年収分布~高収入の妻ほど高収入の夫、ただし扶養控除枠を意識する妻も
次に、パワーカップル世帯を含む共働き世帯の状況を確認する。
総務省「令和2年労働力調査」によると、夫婦共に就業者の世帯(以下、共働き世帯)は1,621万世帯であり、総世帯の約3割を占める。
この共働き世帯について、妻の年収階級別に夫の年収階級の分布を見ると、妻の年収が高いほど夫も高年収の割合が高まる傾向がある(図表5)。年収1,000万円以上の妻の80.0%が夫も年収1,000万円以上であり、以前より上昇している(2016年で75.0%、+5.0%pt)。一方で、妻の年収が200万円未満を除くと、妻の年収が低いほど夫も比較的低年収の割合が高い傾向がある。つまり、高年収同士、あるいは低年収同士が夫婦であることで、夫婦(世帯)間の経済格差2の存在が窺える。
妻の年収200万円未満(収入無しを除く)では、逆に夫の年収は低年収の割合が低下し、年収500万円以上の割合が高まる。夫の年収500万円以上の割合は、妻の年収200~300万円未満では35.4%だが、妻の年収50万円未満では40.0%、50~100万円未満では46.4%、100~150万円未満では41.6%と4割を超える(図表略、図表5はこれらを合算した値)。この背景には夫が一定程度の年収を得ているため、自身の収入を増やすよりも夫の扶養控除枠を意識して働く妻が増えることなどがあげられる。
2|パワーカップル世帯数の推移~コロナ禍でも引き続き増加、2020年で34万世帯、共働き世帯の2.1%
夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯に注目すると、2020年では34万世帯で総世帯の0.62%3、共働き世帯の2.1%を占める(図表6)。
なお、冒頭で述べた通り、パワーカップルの定義は様々である。参考までに、例えば夫婦の合計年収が2千万円前後・以上の世帯4について見ると14~29万世帯で総世帯の0.25~0.52%、共働き世帯の0.86~1.8%を占める。先に見た通り、年間所得2千万円以上の世帯は全体の1.3%であるため、このうち共働き世帯は3割前後を占めると見られる。また、夫婦の合計年収1500万円前後・以上まで広げると、46~156万世帯で総世帯の0.83~2.8%、共働き世帯の2.8~9.6%を占める。
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3 ここでの総世帯は先の厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」による5,179万世帯ではなく、総務省「2020年労働力調査」における二人以上世帯(3,544万世帯)と単身世帯(1,980万世帯)を合わせた5,524万世帯を用いている。
4 図表5・6にて、妻の年収1,500万円以上で夫の年収500万円以上など合計が2,000万円以上に加えて、妻の年収1,000~1,500万円未満で夫の年収500~1,000万円及びその逆のパターンを加えたもの。