ミャンマーのヒスイ鉱山で土砂崩れ100人行方不明 地獄の環境で繰り返す悲劇
Landslide at Myanmar Jade Mine Kills One, Leaves at Least 70 Others Missing
積み上げられた土砂や産業廃棄物が崩れ落ちて大勢の作業員が巻き込まれた TRT World Now-YouTube
<普段から積み上がった土砂のそばで寝泊まりする危険な職場で、不法労働者も多く身元は永遠にわからない可能性も>
ミャンマー北部のカチン州にあるヒスイ鉱山で土砂崩れが発生。複数の当局者によれば、これまでに1人の死亡が確認され、少なくとも70人の行方が分からない状態で、捜索活動が続けられている。
土砂崩れが発生したのは12月22日の早朝だ。近くにある別の複数の鉱山に積み上げられていた大量の土砂や廃棄物が、約60メートル下で採掘作業を行っていた作業員たちの上に崩れ落ち、彼らを巻き込んで湖に流れ込んだ。
現地捜索隊の責任者はAP通信に対して、「救助隊員と消防隊員、およそ150人態勢で捜索活動を行っており、これまでに鉱山作業員1人の遺体を発見した。引き続き、捜索を行っていく」と述べた。また報道によれば、付近の3つの店舗が土砂に埋もれる被害を受けた。これらの店には当時、少なくとも5人の若い女性がいたとされている。
この大惨事が発生したのは、世界で最もヒスイの埋蔵量が多い地域のひとつである、カチン州のパカン地区だ。ヒスイ産業に関する腐敗の横行から、軍はこの地域でのヒスイ採掘を禁止していたが、一部の企業は今も違法な採掘を続けている。
小規模な違法採掘が横行
同地区のヒスイ鉱山ではここ数年、ほかにも複数の事故が発生している。2020年7月の地滑りでは少なくとも162人が死亡し、2015年11月の事故では113人の死者が出ている。2015年の事故では、約60メートルの高さに積み上げられた土砂や廃棄物が夜間に崩れ、作業員たちが寝ていた少なくとも70棟の小屋が破壊された。
現地からの報道はきわめて乏しい状況だ。世界のヒスイ産業の中心地であるパカン地区は、ミャンマー軍と、独立を求めるゲリラ組織との間で散発的な戦闘が起きていることでも知られている。
パカン地区は、ミャンマーの最大都市ヤンゴンから約965キロメートル北に位置するカチン州にある人里離れた山岳地帯だ。ミャンマー政府とゲリラ組織との間では停戦合意が結ばれているが、2021年2月1日に軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる(選挙で選ばれた)政府を追放して以降、この合意は守られていない。
この地区にある複数の鉱山は、カチン州を拠点とするゲリラ組織「カチン独立軍」の主な資金源でもある。
同地区の市民グループのある当局者(匿名)によれば、これらの鉱山では20~50の企業が違法な採掘を行ってきた。採掘作業については、長年その安全性が懸念されており、数年前に採掘免許が停止されたことで、さらに劣悪な環境下での違法な小規模採掘が横行している。