日本人には分かりにくい「アラブ」「中東」「イスラム」の違いって?
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<政治や経済だけでなく、留学に観光など国民レベルの交流も深まってきた日本とアラブ諸国──互いを理解するために、3つの言葉の意味するところをぜひ知ってほしい>
エジプト出身の私が初めて日本に来たばかりの頃に、自分のことを周りの人に伝えると、「ああ、中東の方ですね」「イスラムの方ですか」「アラブの盟主の国ですね」との言葉を返してくる人が多かったことを今も覚えている。
日本人はこの3つの言葉「アラブ」「中東」「イスラム」を同じような意味で捉えていることがそこで初めてわかった。実際、これらの言葉は全く別のことを意味するのではなく、互いに交差しているところが大きい。
近年は日本とアラブ諸国間で、政治や経済、留学、観光など諸分野の交流が徐々に深まり、双方の接触する機会が増えている。国民レベルの交流は今後ますます広がり、深まっていくことだろう。
ただ、言語と文化の壁により、互いの社会の情報を完全に理解できないことがある。特にアラブ世界と接する際に日本人が常に困惑させられることの一つが,先に述べた「アラブ」と「中東」と「イスラム」という3つの言葉の違いである。
ここで一つクイズを。
「1.エジプト 2.パキスタン 3.イラン 4.トルコ 5.アフガニスタン
これら5つの国はそれぞれ、アラブ、中東、イスラムどの分類に入るでしょうか」
これに答えられるためには、3つの言葉を区別できる基準を知る必要があるだろう。
まず、知っておくべきなのは、この3つの言葉の意味は言語で言うと、よく似ている類義語のような関係にあることである。「アラブ」「中東」「イスラム」は、イスラムの方が意味のスケールが広く、中東とアラブを包み込むような関係にある。イメージ的には次のような図となる。
区別の基準は次の3つの要素で決まる。「言語(アラビア語かそれ以外か)」「宗教(イスラム教の宗派)」「地理的範囲」である。