渋谷に負けぬほどの迷宮ぶり 初めての人を確実に混乱させる大阪駅=梅田駅のややこしさ
大阪駅とヨドバシカメラの間には横断歩道がなく、歩道と車道の間は柵で仕切られている。迂回うかいしても横断歩道にはたどり着けず、地下へ向かう階段も見つけづらい。なんとか地下へ入っても、ヨドバシカメラの入口が地下街の店舗に隠れている。
現在は道路を横断する高架デッキが作られて解消したが、梅田の迷宮っぷりを象徴する場所として記憶している人は多いはずだ。
駅が行き止まりを作っている場所もある。御堂筋線梅田駅は改札が通路を完全に塞いでおり、脇を抜ける通路が存在しない。上を通る御堂筋を進むか、地下にこだわるなら東側のホワイティうめだを通って、大きく迂回する必要がある。阪神大阪梅田駅も行き止まりに見えるが、こちらには脇に通行できるルートがある。だが位置がわかりづらく、案内表示も不親切なのが難点だ。
再開発で大迷宮はさらに複雑化する
2011年に五代目駅舎と橋上通路、大阪ステーションシティが供用開始したことで、JR大阪駅の改修工事は一段落した。しかし、これからさらに大規模な再開発が待ち構えている。つまり梅田の大迷宮は、今後ますます複雑化していくことが決定的となっている。
現在進行形なのは「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」だ。阪神梅田本店と新阪急ビルの建て替えによって生まれる高層ビルで、2022年春に開業予定となっている。
阪急うめだ本店が入居している梅田阪急ビル(「大阪梅田ツインタワーズ・ノース」に改称予定)と並ぶ形となる。合わせて阪神大阪梅田駅も、5面4線から4面4線に変更され、ホーム長とホーム幅が拡大する。こちらは2022年度末に完成予定だ。
さらにJR大阪駅を西側へと拡張する工事が、既に始まっている。現在、地表レベルには東から御堂筋口、中央口、桜橋口があるが、最西端に新たな出入口が2024年夏に登場する予定だ。隣接する旧大阪中央郵便局の跡地を含めた場所に、オフィスや商業施設、バスターミナルなどを備えた地上23階の駅ビルが建設され、新たな改札口はその1階部分に設置されることになる。
そして最も注目されているのが、旧梅田貨物駅の跡地(梅田北ヤード)で行われる再開発だ。既に一期工事として2013年にグランフロント大阪が開業したが、これを上回る規模の二期工事が進行中となっている。オフィスやホテル、商業施設や住宅が集結した高層の複合棟が「うめきた二期地区」に建設される予定で、広大な都市公園や都市型スパも作られる。
大阪駅地下にできる意外な新駅の名前
問題は地下に設置予定の駅だ。再開発と同時に、この区域の西側を走っている東海道本線の支線(梅田貨物線)が地下に移され、同時に新駅が設置される。
この梅田貨物線は特殊な路線で、もともと東海道本線と旧梅田貨物駅や桜島線の安治川口駅を結ぶために設けられていた。
しかし貨物輸送が減少したことで、京都駅・新大阪駅方面と、西九条駅から大阪環状線を経由して天王寺駅方面を結ぶバイパス線として使用されるようになった。
特急「はるか」が京都方面から関西空港へ向かう場合、大阪駅で東海道本線から大阪環状線へ転線すると、平面交差が必要となるため、運行ダイヤに支障を来す。新大阪駅と西九条駅を短絡する梅田貨物線を通れば、大阪駅というターミナル駅を通過することになってしまうものの、他の路線に迷惑を掛けることがない。
こうして梅田貨物線は、「はるか」や南紀方面へ向かう特急「くろしお」など、主に特急列車が運行される路線となった。これを再開発と同時に地下へ移設し、通過している大阪駅に隣接する場所に地下新駅を作ろうというのが地下化の趣旨だ。
新設の地下駅は、名称が「大阪駅」となることが決定した。つまり新駅ではなく、既存の大阪駅の構内となる。東京駅の京葉線ホームのように、連絡通路は長くなるが、同一駅という扱いだ。西側に拡張される新たな改札口付近から、連絡通路が設けられる見込みだ。