取引所から「消える」ビットコイン、過去最高値の裏で起きていること
ビットコインの場合、10月に一時的に流入がみられた後、11月に流出が加速しました。
現在の取引所のビットコイン保有量は、30日前と比べてマイナス33億ドルです。長期保有目的でビットコインを取引所からコールドウォレットなどに移す投資家が増えていることを、こちらのデータも示唆しています。
11月10日のビットコイン最高値更新は、長期保有者の増加にもかかわらず達成された記録更新であり、さらなる高値を更新しないと満足しないという投資家心理が表れていると言えそうです。
イーサリアムの方も似たような傾向です。
11月16日に仮想通貨市場全体が9%ほど下落したにもかかわらず、イーサリアムの長期保有傾向は加速されました。イーサリアムの取引所からの流出額はマイナス44億4000ドルで、執筆時点で過去最高の流出額を記録しました。
ビットコイン同様、イーサリアムのさらなる最高値更新への期待が高まっており、投資家がこれまでになく強気で自信を持っている証左であると考えられます。
「プエル・マルチプル」 Puell Multiple
最後に、マイナーの動向についてみてみましょう。
マイニング報酬として絶えず現物のビットコインを獲得するマイナーが、ビットコインの売り時がいつと考えているかを知ることは、相場分析において重要になってきます。
ここで注目なのが、プエル・マルチプルです。これは、一日あたりのマイナーの売上高を、一日あたりのマイナーの売上高の365日移動平均で割った値です。
プエル・マルチプルが0.5を下回ると、歴史的にビットコインが底値をついてマイニングの利益率が持続的でないほど低水準まで落ち込んだことを意味します。対照的に3を上回れば、歴史的にはマーケットのサイクルの頂点と時期が一致しており、利益確定の絶好のタイミングと解釈できます。
現在のプエル・マルチプルは、1.46。マイナーは十分に利益を上げている状態であるものの、マーケットの頂点ではありません。このため、マイナーは、利益確定の売りをするより、ビットコインの保有を継続する可能性が高いと考えられます。