習近平「歴史決議」の神髄「これまで解決できなかった難題」とは?
さて、この黄色部分から、なぜ「難題」が「反腐敗運動だ」と分かるかというと、2012年の第18回党大会から2017年の第19回党大会までの間に起きた大きな出来事は「虎も蠅も同時に叩く」という反腐敗運動だからだ。
しかも中国の有史以来、延々と続いてきた賄賂文化に、江沢民による激しい腐敗醸成が招いた中国共産党幹部らの底知れぬ腐敗文化が筆舌に尽くしがたいほどだ。
胡錦涛政権になって、胡錦涛がどんなに腐敗と闘おうとしても、チャイナ・ナイン(当時の中共中央政治局常務委員会委員9人)の中に6人も江沢民派が送り込まれていたので、チャイナ・ナインにおける多数決議決の時に、その6人に阻まれて、胡錦涛は反腐敗運動を実行することができなかった。
だから図表1と図表2に共通している言葉の内、赤線を引いた言葉「長い間解決したいと思ってきたが解決できなかった難題を解決し、過去に何とかしようとしたが出来なかった大きな事を成し遂げた」が、「反腐敗運動」を指していると推測できるのである。
これは正に中国5000年の歴史以来の難題で、どの指導者も解決したいと思いながら、多くの王朝が腐敗で滅んでいった実例からも十分に推測できる。
新中国(中華人民共和国)が誕生して間もない1951年末、毛沢東も「大虎も小虎も同時に叩く」というスローガンの下に、反腐敗運動を展開した。
そのとき天津の小学校に上がっていた私は、毎日のように「虎を何匹捕まえた」という話を授業中に聞かされたものである。
まだ国民党が統治する「中華民国」の時代だった1946年から48年にかけて、生まれ育った長春市で目の前に国民党兵士がいる環境で日々を過ごしたが、八路軍(当時の共産党軍の一般的呼称)により食糧封鎖されている中でも、国民党軍と一部の金持ち(中国人)の間では腐敗が蔓延して怠惰が広がっていた。
こういう経験からも「難題」が「腐敗」であるということを実感することができる。
腐敗撲滅によりハイテク軍事力が先鋭化
1989年に天安門事件が起きた際、鄧小平は鶴の一声で江沢民を中共中央総書記に指名するのだが、北京に政治基盤のない江沢民は「金」で結ばれた関係によりに自らの権力基盤を強化し、中国の政財界を底なしの腐敗地獄へと陥れていった。