最新記事

欧州

「ベラルーシ移民危機は軍事衝突に発展も」 バルト3カ国が警告

2021年11月12日(金)12時42分
ベラルーシとの国境を警備するポーランド軍の兵士

リトアニア、エストニア、ラトビアの3カ国は10日、隣国ベラルーシから欧州連合(EU)の境界沿いに移民が押し寄せている問題について、軍事衝突に発展する恐れがあると警告した。写真はポーランド側の国境をパトロールするポーランド軍の兵士。11日撮影、提供写真(2021年 ロイター/MON)

リトアニア、エストニア、ラトビアの3カ国は10日、隣国ベラルーシから欧州連合(EU)の境界沿いに移民が押し寄せている問題について、軍事衝突に発展する恐れがあると警告した。ウクライナは一方、国境警備を強化する方針を明らかにした。

バルト3国の国防相は共同声明を出し、ベラルーシはEUによる既存の制裁への報復として意図的に移民をEUに送り込むことで、欧州の安全保障に深刻な脅威をもたらしていると指摘。

「挑発行為や重大事件が発生する可能性が高まり、軍事領域に波及するリスクもある」とした。

ベラルーシ国防省は先に、EU加盟国ポーランドが国境付近に配備する兵士を増強させていることを受け、同国単独および同盟国ロシアと共同で「適切な対応措置」を取らざる得なくなると表明していた。

EU非加盟のウクライナは、移民危機が同国に飛び火するのを恐れ、ベラルーシとの国境沿いに兵士と警察官を8500人増派すると発表した。

ポーランド当局によると、ベラルーシ側の国境沿いで立ち往生している移民はポーランドの国境警備隊に石や木の枝を投げつけ、国境を無理やり越えるために夜間に丸太で鉄条網を壊そうと試みた。

EUはベラルーシ政府が戦争で荒廃した国から難民を呼び寄せ、ポーランドに意図的に送り込んでいると非難し、15日にもベラルーシに対する追加政策を発動する可能性があると表明している。

ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシア産天然ガスを自国経由で欧州に送っているパイプラインを止めるなどの報復措置を取る可能性があると主張している。

ベラルーシとポーランドの国境で立ち往生している移民は凍り付く寒さの中、テントを張り越境の機会をうかがっている。ポーランドは数カ月前からの移民危機で少なくとも7人が死亡したと報告している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中南米・カリブ諸国、25年成長率は2.4% 国連機

ビジネス

アングル:日本車メーカーに再編の波、日産とホンダ協

ワールド

訂正シリア集団墓地、前政権による「死の装置」証拠=

ワールド

ガザ停戦合意へ取り組み続く、イスラエルの空爆で20
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが物議...事後の悲しい姿に、「一種の自傷行為」の声
  • 3
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘルミサイル」ドローンの量産加速
  • 4
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    爆発と炎上、止まらぬドローン攻撃...ウクライナの標…
  • 9
    ChatGPT開発元の「著作権問題」を内部告発...元研究…
  • 10
    ウクライナ侵攻によるロシア兵の死者は11万5000〜16…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 6
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中