中国ゼロコロナ政策は「コロナの煉獄」 米、香港紙などが批判
厳しい国外の視線 「コロナの煉獄」
しかし、国外の目は厳しい。米CNNは環球時報の記事公開と日を同じくして、「中国のゼロ感染への執念が、いかに同国を『コロナの煉獄』に変えるか」と題する動画を公開した。
動画は、世界でも有数の高いワクチン接種率を誇る日本やオーストラリアなどがウィズコロナ路線を歩みつつあるとし、対比する形で中国路線の特殊性を論じている。ゼロコロナで成功を収めていたニュージーランド、オーストラリア、シンガポールなどでさえ、デルタ株以降は方針を転換する柔軟な姿勢をみせている。
ナレーションは「このウイルスが最初に検出された中国は、この地域でいまだゼロコロナを追求する唯一の国である」「北京オリンピックが間近に迫るにもかかわらず、規制がすぐに緩和される様子はまったくみられない」とし、対応に疑念を示す。北京五輪まで3ヶ月を切っている。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙も、ゼロコロナ路線を転換すべきとの立場だ。同紙記事は「ウイルスが順応した今、中国ゼロコロナの目標は可能性ゼロ 複数の専門家が指摘」との見出しを掲げる。
2004年にSARS第2波の防止に尽力した感染症の専門家などが同紙に対し、SARSとは異なり新型コロナは人間社会に定着しているなどとの見解を明かしている。いま目指すべきはウイルスの完全排除ではなく、(中国製)ワクチンの抗体レベルの減少を把握するための大規模な検査だ、と専門家らは指摘する。
デルタ株の封じ込めは可能か
入念な感染防止対策にもかかわらず、局地的なアウトブレイクが中国の広い地域で繰り返している。ブルームバーグは、中国は過去5ヶ月ほど第4波に見舞われており、半数以上にあたる20の行政区で新規感染者が報告されていると報じている。日ごとの新規感染者数は全土で100人前後と大きくないものの、ゼロコロナへの道は険しい。
CNNは、「にもかかわらずウイルスは急速な拡がりをみせ、ゼロコロナの持続性に疑問を投げかけている」と述べる。中国では感染ピークの到来間隔が短くなり、ピーク期間も長期化する傾向にあることから、当局の感染対策自体の有効性にも疑問符がつくとの指摘だ。
ゼロコロナは、経済面でもリスクを伴う。独コメルツ銀行のアナリストらは米CNBCの取材に対し、中国がゼロコロナに固執するならば、すでに電力危機で弱体化している中国経済がさらに下振れしかねないと警告している。
市民生活に大きな犠牲を強いるゼロコロナ路線は果たして実を結ぶのか、動向が注目される。
China steps up zero-tolerance approach to Covid-19 as Delta fears grow ahead of Beijing Olympics