コロナ治療薬は「ワクチンの代わりにならない」 その理由とは?
ジョージワシントン大学の救急医リーナ・ウェン氏は「ファイザーのニュースは素晴らしい朗報だ。ワクチンと併せて効果を発揮するが、代わりにはならない」と言う。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は5日のロイターのインタビューで、ワクチン接種を受けない選択を行えば「悲劇的な間違いになる」と強調。「(新薬は)治療薬だ。不幸にも感染症を患った人々のためのものだ」とし「自らを守らず、自分自身と家族、社会を危険にさらす理由にはならない」と述べた。
早期投与の難しさ
専門家らによると、体内でウイルスの複製を阻止する抗ウイルス薬は、感染初期の限られた期間に投与する必要がある。この点が、新薬だけに頼るべきではない主な理由の1つとなる。新型コロナウイルス感染症には複数の段階があるからだ。
最初の段階で、ウイルスは体内で急速に複製する。しかし、新型コロナの最悪の症状の多くは第2段階で表れる。複製したウイルスが引き起こす免疫反応による現象だ。
非営利組織、ジャスト・ヒューマン・プロダクションズの創設者である感染症専門家、セリーヌ・ガウンダー氏は「入院が必要な息切れやその他の症状をひとたび起こしてしまえば、免疫不全段階に入ったということであり、抗ウイルス薬は大した効果を発揮しなくなる」と言う。
ホテズ氏も同意見だ。同氏によると、ウイルスが複製段階から炎症段階に移行するまでの期間は流動的なため、十分に早い段階で治療を受けることは簡単ではない。「ある人は早めに移行し、他の人は遅めに移行する」という。
ホテズ氏は、感染症の初期段階では多くの人々が驚くほど体調が良いと説明。このため、炎症段階の始まりを告げる初期兆候の1つである酸素レベルの低下に気付かない可能性があるという。
「病気を患ったと気付いた時には手遅れ、ということがしばしば起こる」とホテズ氏は述べた。
(Julie Steenhuysen記者)
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