最新記事

感染症対策

コロナ治療薬は「ワクチンの代わりにならない」 その理由とは?

2021年11月9日(火)19時36分

ジョージワシントン大学の救急医リーナ・ウェン氏は「ファイザーのニュースは素晴らしい朗報だ。ワクチンと併せて効果を発揮するが、代わりにはならない」と言う。

ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は5日のロイターのインタビューで、ワクチン接種を受けない選択を行えば「悲劇的な間違いになる」と強調。「(新薬は)治療薬だ。不幸にも感染症を患った人々のためのものだ」とし「自らを守らず、自分自身と家族、社会を危険にさらす理由にはならない」と述べた。

早期投与の難しさ

専門家らによると、体内でウイルスの複製を阻止する抗ウイルス薬は、感染初期の限られた期間に投与する必要がある。この点が、新薬だけに頼るべきではない主な理由の1つとなる。新型コロナウイルス感染症には複数の段階があるからだ。

最初の段階で、ウイルスは体内で急速に複製する。しかし、新型コロナの最悪の症状の多くは第2段階で表れる。複製したウイルスが引き起こす免疫反応による現象だ。

非営利組織、ジャスト・ヒューマン・プロダクションズの創設者である感染症専門家、セリーヌ・ガウンダー氏は「入院が必要な息切れやその他の症状をひとたび起こしてしまえば、免疫不全段階に入ったということであり、抗ウイルス薬は大した効果を発揮しなくなる」と言う。

ホテズ氏も同意見だ。同氏によると、ウイルスが複製段階から炎症段階に移行するまでの期間は流動的なため、十分に早い段階で治療を受けることは簡単ではない。「ある人は早めに移行し、他の人は遅めに移行する」という。

ホテズ氏は、感染症の初期段階では多くの人々が驚くほど体調が良いと説明。このため、炎症段階の始まりを告げる初期兆候の1つである酸素レベルの低下に気付かない可能性があるという。

「病気を患ったと気付いた時には手遅れ、ということがしばしば起こる」とホテズ氏は述べた。

(Julie Steenhuysen記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サントリーなど日本企業、米関税に対応へ 「インパク

ワールド

韓国、米関税で企業に緊急支援措置策定 米と交渉へ

ビジネス

総務省、フジHDに行政指導 コンプラ強化策の報告要

ビジネス

ECB高官、トランプ関税は世界経済の安定脅かすと警
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中