親に利用され、ネットでは批判の的になる「未成年YouTuber」たち
When Parents Overshare
法的保護はまだ不十分
「極端な形」のシェアレンティングは子供にダメージを与える可能性があると、セントラル・ミシガン大学ファミリー・ヘルス・ラボの主任研究員セーラ・ドモフは指摘する。人前で恥をかかせるなど「恥ずかしい経験を繰り返す」と、否定的な自己認識や低い自己評価につながりやすいという。
過去にはYouTubeの「おすすめ」機能を悪用して子供の動画を探し、コメント欄に淫らな書き込みをしたり、児童ポルノのリンクを共有したりする小児性愛者グループもいた。「ネット被害の経験は子供の自殺願望や鬱状態と関連があることが分かっている」と、ドモフは言う。
アメリカの個人情報保護法では、一般に親が未成年の子供の個人情報を管理するとされている。だがフロリダ大学のステイシー・スタインバーグ教授(法学)によると、親自身が子供の個人情報をオンラインで公開する場合には、利益相反が発生する。「親はゲートキーパー(情報を保護する者)であると同時にゲートオープナー(情報を公開することで利益を得る可能性のある者)でもある」
子供のデジタルプライバシーに関する連邦法は既にある。1998年制定の児童オンライン・プライバシー保護法(COPPA)は、子供向けサイトが親の同意なしに13歳未満の子供から情報収集することを禁じ、第三者による侵害から子供のプライバシーを守ることを親に課している。
YouTubeは20年1月、ターゲット広告や子供の興味を引く可能性のある動画へのコメントを無効にするなど、COPPAに準拠した対策を導入した。しかし、この新方針に一部のユーチューバーは反発した。コンテンツから得られる収入が減り、家族向け動画のクリエーターの意欲を失わせると、彼らは言う。
アメリカにはまだ、親が営利目的で作成したソーシャルメディア上のコンテンツに登場する子供を対象とする包括的な法律上の保護規定はない。例えばカリフォルニア州の「オンライン消しゴム法」は、未成年者がウェブサイトやオンラインサービスの運営者に自身のコンテンツ削除を要求することを認めているが、自分の親が投稿したコンテンツにも適用されるかどうかはまだ判然としない。
子供の出演者を経済的搾取から保護する法律はある。最も有名なのは、カリフォルニア州が1939年に制定したクーガン法だ。
チャーリー・チャプリンの映画『キッド』に出演した子役のジャッキー・クーガンが自分の収入を使い込んだ母親と義父を訴えたことが契機となって成立した同法は、子役の収入の15%を成人後に利用可能となる信託口座に預けることを義務付けている。ただし、今のところソーシャルメディアで収入を得ている子供は対象外だ。