最新記事

YouTube

親に利用され、ネットでは批判の的になる「未成年YouTuber」たち

When Parents Overshare

2021年11月5日(金)18時07分
ダニヤ・ハジャジ

211109P56_SLD_03.jpg

米連邦取引委員会は2019年、子供のデータ利用違反でグーグルに巨額の制裁金を科した。グーグルにできることは? JOE SCARNICI/GETTY IMAGES FOR FUNIMATION FILMS

出回った動画は消せない

「幼い子供は、何が行われているか理解できず、同意したり自分の意見を反映させたりすることもできない」と、ハーバード大学ロースクールのリア・プランケット講師は言う。「3歳のときに出回ったコンテンツを、13歳になった本人が不快に思っても、もう消すことはできない」

閲覧者数を稼ぎたいユーチューバーの親により、子供が利用されるケースは珍しくない。メリーランド州のマイクとヘザーのマーティン夫妻は、子供たちに残酷ないたずらを仕掛けたドッキリ動画を何百本も投稿した。ある動画では、息子2人にインクをこぼしたとぬれ衣を着せ、泣いている息子たちに罵声を浴びせた。

こうした動画を投稿した結果、マーティン夫妻は17年、5人の子供のうち2人の親権を失った。夫妻は動画を削除して謝罪する一方で、全て演技だったとも釈明している。

妻のヘザーは地元のテレビ局にこう述べた。「動画の内容は、現実の私たちではない。全てがショーだった。劣悪な内容だったとしても、ショーという創作物だった」

このようなスキャンダルが持ち上がると、子供たちもインターネット上で嫌がらせを受ける場合がある。

ユタ州のルビーとケビンのフランケ夫妻は、YouTubeチャンネル(登録者数238万人)に、夫妻と6人の子供たちの様子を映した動画を投稿していた。

ある動画では、15歳の息子が、兄弟に意地悪をした罰として寝室を「没収」されて、ビーズクッションの上で寝ることになったと話していた。

別の動画では、ルビーが娘の学校からの連絡にどのように応じたかを語っていた。6歳の娘が昼食を持ってくるのを忘れたので届けてほしい、という連絡だった。

ルビーはそのときこう返答したとのことだった。「昼食は、娘が自分で用意することになっています......おなかがすいても自業自得。娘に食べ物を与えないでください」

怒りの声が噴出すると、フランケ夫妻は20年6月、ニュースサイトのビジネスインサイダーに対し、寝る場所はほかにもあったが、息子が自分からビーズクッションで寝ることを選んだと釈明した。娘の昼食については、学校は自宅から車で45分の距離にあり、その日はあと2時間で帰宅する予定だったと説明した。

それでも児童虐待だという非難が殺到し、殺害予告や子供に自殺を勧めるメッセージが送られてきたという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中