親に利用され、ネットでは批判の的になる「未成年YouTuber」たち
When Parents Overshare
出回った動画は消せない
「幼い子供は、何が行われているか理解できず、同意したり自分の意見を反映させたりすることもできない」と、ハーバード大学ロースクールのリア・プランケット講師は言う。「3歳のときに出回ったコンテンツを、13歳になった本人が不快に思っても、もう消すことはできない」
閲覧者数を稼ぎたいユーチューバーの親により、子供が利用されるケースは珍しくない。メリーランド州のマイクとヘザーのマーティン夫妻は、子供たちに残酷ないたずらを仕掛けたドッキリ動画を何百本も投稿した。ある動画では、息子2人にインクをこぼしたとぬれ衣を着せ、泣いている息子たちに罵声を浴びせた。
こうした動画を投稿した結果、マーティン夫妻は17年、5人の子供のうち2人の親権を失った。夫妻は動画を削除して謝罪する一方で、全て演技だったとも釈明している。
妻のヘザーは地元のテレビ局にこう述べた。「動画の内容は、現実の私たちではない。全てがショーだった。劣悪な内容だったとしても、ショーという創作物だった」
このようなスキャンダルが持ち上がると、子供たちもインターネット上で嫌がらせを受ける場合がある。
ユタ州のルビーとケビンのフランケ夫妻は、YouTubeチャンネル(登録者数238万人)に、夫妻と6人の子供たちの様子を映した動画を投稿していた。
ある動画では、15歳の息子が、兄弟に意地悪をした罰として寝室を「没収」されて、ビーズクッションの上で寝ることになったと話していた。
別の動画では、ルビーが娘の学校からの連絡にどのように応じたかを語っていた。6歳の娘が昼食を持ってくるのを忘れたので届けてほしい、という連絡だった。
ルビーはそのときこう返答したとのことだった。「昼食は、娘が自分で用意することになっています......おなかがすいても自業自得。娘に食べ物を与えないでください」
怒りの声が噴出すると、フランケ夫妻は20年6月、ニュースサイトのビジネスインサイダーに対し、寝る場所はほかにもあったが、息子が自分からビーズクッションで寝ることを選んだと釈明した。娘の昼食については、学校は自宅から車で45分の距離にあり、その日はあと2時間で帰宅する予定だったと説明した。
それでも児童虐待だという非難が殺到し、殺害予告や子供に自殺を勧めるメッセージが送られてきたという。