最新記事

環境

「COP26提出の計画実行しても今世紀中に2.4度上昇」 欧州研究機関が発表

2021年11月10日(水)10時19分
異常気象

欧州の研究機関で構成されるクライメート・アクション・トラッカー(CAT)は9日、グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に提出された今後10年間の気候変動対策の各国の最新計画を実行しても、今世紀中に約2.4度の地球温暖化がもたらされると発表した。写真は2019年11月撮影(2021年 ロイター/Andreea Campeanu)

欧州の研究機関で構成されるクライメート・アクション・トラッカー(CAT)は9日、グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に提出された今後10年間の気候変動対策の各国の最新計画を実行しても、今世紀中に約2.4度の地球温暖化がもたらされると発表した。これは安全なレベルを大幅に上回る。

CATは、COP26参加国による2030年までの温室効果ガス排出量削減計画が実施されても、2100年までに国連の目標値をはるかに超えて温暖化が進む見通しだと指摘した。

CATは、15年のパリ協定で定められた産業革命以前の水準からの意欲的な目標に言及して「30年に向けたグラスゴーでの新たな計画でも、30年に1.5度の上昇を抑えるための排出量の約2倍排出することになる」とし、「全ての政府は目標を再考する必要がある」と説明した。

50年までか、それ以降に大気中の温室効果ガスレベルの増加を食い止めるという一部の国の長期目標「実質ゼロ(ネットゼロ)」を実行する「楽観的なシナリオ」では、今世紀中に1.8度の温暖化に抑えられる可能性があるとした。これは、国際エネルギー機関(IEA)が先週発表した分析結果と同じだ。

ただ、CATは大部分の国が目標達成に必要な短期的な政策や法律を実施していないため、長期的な計画が達成されるとの想定には警告を発した。

CATを構成する機関の1つ、クライメート・アナリティックスのビル・ヘア最高経営責任者(CEO)は「各国首脳がネットゼロ目標を掲げるのは結構だが、そこに至る計画がなく、30年の目標が多数の国で現在のように低ければ、率直に言って『ネットゼロ』目標は真の気候変動対策に対するリップサービスに過ぎない」と言及した。

CATによると、新たな計画を全く実施しない場合、世界の気温は今世紀中に2.7度上昇する。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・クジラは森林並みに大量の炭素を「除去」していた──米調査
・気候変動による世界初の飢饉が発生か 4年間降雨なく、昆虫で飢えをしのぎ...マダガスカル
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

デンソー、今期営業利益予想は87%増 合理化など寄

ビジネス

S&P、ボーイングの格付け見通し引き下げ ジャンク

ワールド

ポーランドの米核兵器受け入れ議論、ロシア「危険なゲ

ビジネス

バーゼル委、銀行監督規則を強化 気候変動関連リスク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中