<COP26>石油メジャーに脱石油させるには?──米議員の戦い
Big Oil to Testify on Climate Change Disinformation—What This Could Mean for Green Economy
石油メジャーの嘘を暴き立てるだけではだめだと、石油業界と戦う米議員は言う(2015年、カリフォルニア州カーソンの精油所) Mike Blake-REUTERS
石油メジャー数社の幹部が10月28日、米連邦議会下院の監視・改革委員会の公聴会に初めて出席した。石油業界が、化石燃料が地球温暖化に与える影響に関する科学的事実を覆い隠そうとしているという指摘に答えるためだ。
エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェルなどの石油大手の内部文書によれば、石油各社は1980年代から、化石燃料排出物が及ぼす甚大な悪影響をめぐる科学的知識を持っていたことが示唆されている。にもかかわらずこれらの企業は、気候変動を裏づけるデータを打ち消すことを狙ったロビー活動や、秘密裏の研究資金提供を通じて、自社製品の有害性に関する誤った情報を拡散をさせたとされている。
そうした裏工作には近年、厳しい視線が向けられるようになっていた。特に、最近行われた英グリーンピースの調査は決定的だった。
グリーンピースのジャーナリストは、身元を隠したうえで、エクソンの連邦政府関係チーム担当シニアディレクターを務めるキース・マッコイにZoomインタビューをおこなった。そのなかでマッコイは、エクソンが「影の団体」と協力して、気候変動をめぐる初期の取り組みを妨害したことや、いくつかの科学的事実に反する「闘い」を続けてきたことを認めた。
ターニングポイントになるか
このレポートを受け、カリフォルニア州選出の下院議員で監視・改革委員会の環境小委員会の長を務めるロー・カンナは、エクソンなどの石油大手を、議会での質疑に出席させるつもりだと言った。この公聴会は世論のターニングポイントになる可能性がある、とカンナは本誌に語った。
石油メジャーと戦うロー・カンナ米下院議員(民主党)は、当事者すべてを勝ち組にできなければ脱炭素は進まないと言う Pedro Nunes-REUTERS
「米国民のほとんどは、これらの企業が(気候変動を否定するために)行なってきたことや、現在も行い続けていることについて認識していない。ひとたび認識すれば衝撃を受け、反対の世論が一気に高まるだろう」とカンナは述べた。「われわれがしなければならないのは、そうした企業の悪行を衆目にさらし、米国の世論を変えることだ」
糾弾されている問題について公の場で答えさせることで、これらの企業に「誤った情報の拡散やロビー活動をやめさせ、実際に行動を変えさせる」動機づけができるはずだとカンナは述べた(結果的に、歴史的な公聴会はそれほどの注目を集めるには至っていない)。
石油各社は、過去には自社でPR活動やロビー活動を実施していたが、最近ではそうした活動を、米国石油協会(API)などの業界団体を通じて行うようになっている。APIは、議会に対するロビー活動を行う非営利組織で、最新の納税申告書によれば、2億3900万ドル近い巨額の収入がある。