<COP26>石油メジャーに脱石油させるには?──米議員の戦い
Big Oil to Testify on Climate Change Disinformation—What This Could Mean for Green Economy
マッコイは、グリーンピースのジャーナリストとの会話のなかで、APIのような団体について、石油業界の罪を背負う「身代わり」と呼んだ。そして石油各社は、表向きは気候に配慮したメッセージを発信しつつ、世間の厳しい目を向けられずにすむやり方で政策に影響を及ぼすために、こうした団体を利用していると話した。APIが直面する訴訟の数は、ここ数年で着々と増えている。その一例が、「気候変動という脅威の矮小化」に関わったとして、ミネソタ州が起こした訴訟だ。
カンナは本誌に対し、「今回の公聴会の狙いのひとつは、資金の流れを暴き、それを止めることだ」と述べていた。「だが、それは難しい。というのも、石油大手は別の誰かに汚れ仕事をさせながら、自分たちはグリーンウォッシング(うわべだけ環境保護に熱心であるように見せること)に勤しんできたからだ」
石油各社は一様に、「より低炭素な」未来に向けて準備していると公言している。BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)やシェルといった欧州企業が数十億ドル規模の再生可能エネルギーへの投資を通じてそれに取り組む一方で、シェブロンやエクソンといった米国の大手は大気中から炭素を除去するための技術に投資している。
雇用を保証する必要がある
温室効果ガスの排出削減目標の達成に関しては、米国は相変わらず欧州に遅れをとっている。欧州投資銀行の調査によれば、欧州人の78%が気候問題に関して懸念を表明したのに対し、米国人ではその割合は63%だった。多くの州の経済が石油業界と固く結びついていることから、この問題に関して目立った変化を起こすことが大きな難問となりうる地域もある。カンナによれば、公聴会後に行動を促進するためには、そうした難問を乗り越える必要があるという。
「人々に対して職を保証する必要がある。彼らの懸念は当然のものなのだから」とカンナは言う。「その証拠を示さなければいけない。ウェストバージニアやケンタッキーなどの州では、クリーンテクノロジーに関連した、高給で条件のよい仕事が10万人分、保証されていると伝える必要がある」
そうした職が地域社会に根づくのを目にすれば、人々はより積極的に「気候問題に向けた大胆な行動」を受け入れるようになるはずだとカンナは確信している。「シンクタンクのスピーチ」や政府のレクチャーを通じてこの問題に取り組むのではなく、有権者との草の根の対話を通じて行動が生まれるべきだとカンナは述べる。