最新記事

気候変動

<COP26>石油メジャーに脱石油させるには?──米議員の戦い

Big Oil to Testify on Climate Change Disinformation—What This Could Mean for Green Economy

2021年11月8日(月)10時23分
アレックス・ルーハンデ

マッコイは、グリーンピースのジャーナリストとの会話のなかで、APIのような団体について、石油業界の罪を背負う「身代わり」と呼んだ。そして石油各社は、表向きは気候に配慮したメッセージを発信しつつ、世間の厳しい目を向けられずにすむやり方で政策に影響を及ぼすために、こうした団体を利用していると話した。APIが直面する訴訟の数は、ここ数年で着々と増えている。その一例が、「気候変動という脅威の矮小化」に関わったとして、ミネソタ州が起こした訴訟だ。

カンナは本誌に対し、「今回の公聴会の狙いのひとつは、資金の流れを暴き、それを止めることだ」と述べていた。「だが、それは難しい。というのも、石油大手は別の誰かに汚れ仕事をさせながら、自分たちはグリーンウォッシング(うわべだけ環境保護に熱心であるように見せること)に勤しんできたからだ」

石油各社は一様に、「より低炭素な」未来に向けて準備していると公言している。BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)やシェルといった欧州企業が数十億ドル規模の再生可能エネルギーへの投資を通じてそれに取り組む一方で、シェブロンやエクソンといった米国の大手は大気中から炭素を除去するための技術に投資している。

雇用を保証する必要がある

温室効果ガスの排出削減目標の達成に関しては、米国は相変わらず欧州に遅れをとっている。欧州投資銀行の調査によれば、欧州人の78%が気候問題に関して懸念を表明したのに対し、米国人ではその割合は63%だった。多くの州の経済が石油業界と固く結びついていることから、この問題に関して目立った変化を起こすことが大きな難問となりうる地域もある。カンナによれば、公聴会後に行動を促進するためには、そうした難問を乗り越える必要があるという。

「人々に対して職を保証する必要がある。彼らの懸念は当然のものなのだから」とカンナは言う。「その証拠を示さなければいけない。ウェストバージニアやケンタッキーなどの州では、クリーンテクノロジーに関連した、高給で条件のよい仕事が10万人分、保証されていると伝える必要がある」

そうした職が地域社会に根づくのを目にすれば、人々はより積極的に「気候問題に向けた大胆な行動」を受け入れるようになるはずだとカンナは確信している。「シンクタンクのスピーチ」や政府のレクチャーを通じてこの問題に取り組むのではなく、有権者との草の根の対話を通じて行動が生まれるべきだとカンナは述べる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 7
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中