最新記事

政治

ドイツ、社会民主党など3党連立で合意 メルケルが去りショルツ新政権が12月初めに発足へ

2021年11月25日(木)11時39分
次期ドイツ首相候補のオラフ・ショルツから花束を受け取るメルケル

ドイツ社会民主党(SPD)の首相候補、オラフ・ショルツ氏は24日、自由民主党(FDP)および緑の党と新たな連立政権を樹立することで合意したと発表した。写真はショルツ氏から花束を受け取るメルケル氏(2021年 ロイター/Markus Schreiber)

ドイツ社会民主党(SPD)の首相候補、オラフ・ショルツ氏は24日、自由民主党(FDP)および緑の党と新たな連立政権を樹立することで合意したと発表した。

3党は約2カ月間にわたり連立政権樹立を巡って協議してきた。177ページに及ぶ合意書によると、3党は環境に優しい技術やデジタル化への公共投資を加速させる一方で、2023年以降は厳格な債務制限を復活させたい考え。

SPD、FDP、緑の党による連立政権は初となる。これにより、16年間に及んだメルケル首相率いる保守政権に終止符が打たれる。

ショルツ氏はベルリンでの記者会見で「ドイツが最前線を維持するために大規模な投資を行う」と述べた。

各党のシンボルカラーにちなみ「信号連立」と名付けられた新政権は下院の過半数を占めており、各党が連立協約を批准した後、来月初には発足すると見込まれている。

ショルツ氏は、1924年にベルリンのポツダム広場に初めて信号機が設置された時、多くの人がそれが機能するかどうかを疑問視したことに触れ、「現在、物事を明確に規制し、正しい方向性を示し、誰もが安全かつスムーズに前進するために信号機は欠かせない」と指摘。「首相としての私の野望は、この信号連立がドイツにとって同様に画期的な役割を果たすことだ」と述べた。

満載のアジェンダ

SPDと保守連合の「大連立」で財務相を務めるベテラン政治家のショルツ氏(63)は、新型コロナウイルス流行との闘いが最優先事項になると述べた。

しかし、同氏率いる連立政権は、再生可然エネルギーの導入拡大、石炭からの脱却加速、最低賃金の引き上げなど、野心的な中長期計画も掲げている。

また、社会的にリベラルな傾向を強調するため、連立政権は多重国籍を認め、定期的に移民を増やし、選挙権年齢を16歳に引き下げ、欧州で初めて娯楽用大麻の販売を合法化することでも合意した。

緑の党のアンナレーナ・ベーアボック共同党首(40)は、ドイツ初の女性外相に就くと見られている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ車販売、3月も欧州主要国で振るわず 第1四半

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中