「台湾軍は米軍頼りで弱い」は本当か?──台湾の国防相が反論
Taiwan Defense Chief Offers Fighting Talk Amid Doubts About Troop Readiness
記事は「一方的」だと反論した邱国正国防部長 Ann Wang-REUTERS
<米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が徴集兵の訓練は4カ月間のみで内容は「草むしりや落ち葉掃除」ばかりとした衝撃の報道は本当なのか>
台湾軍は中国と戦う準備ができていない――米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が複数の新兵の証言を基にこのように報じたことに、台湾国防部のトップが反論した。
台湾情報機関の元トップでもある邱国正国防部長(国防相)は10月28日、立法院(議会)で行われた聴聞会に出席。26日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事について、複数の議員から厳しい質問を受けた。聴聞会は5時間に及んだ。
同紙による報道は、台湾の社会と政界に大きな波紋を呼んでいる。記事には数多くの徴集兵のインタビューが引用されており、彼らは台湾の予備役(書類上は200万人超にのぼる)について、技術面でも精神面でも、中国と戦う備えはできていないという見方を示した。
一部の徴集兵は同紙の取材に対して、「不十分な備えと士気の低下」が懸念されると語っている。台湾は徴兵制と志願兵制の両方を取り入れており、将来的には志願兵制に完全移行する予定だ。徴兵制では現在、毎年およそ8万人を新たに徴兵しているが、彼らが受けるのは基礎訓練のみで、訓練期間はわずか4カ月だ。
インタビューに応じたある徴集兵は、訓練期間中にやったことは落ち葉掃除、タイヤの移動と草むしりだったと語った。別の徴集兵は、時間をつぶすために意味のない任務をこなしていたと語った。「複数の世論調査やインタビューの結果を見ると、多くの台湾市民が、深刻な危機が生じた場合、アメリカが対処してくれることを期待しているようだ」とウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。
「重要なのは志願兵とリーダーシップ」
28日の聴聞会の中で徴兵制について質問を受けた邱は、同紙の報道に異論を唱え、記事は4カ月間という訓練期間に焦点を当てて、台湾軍の備えについて「一方的な」見解を示したものだと主張した。
「問題の記事が、何を根拠に(軍の備えについて)評価を下しているのか分からない」と邱は述べた。「我々は、4カ月間の軍事訓練を基に評価を行ってはいない。当初、徴集兵の訓練期間は2年間だった。今では志願兵制度も導入されており、志願兵が軍の要員の90%にのぼっている」
国防部は4月に発表した報告書の中で、戦闘部隊に必要な総兵力18万8000人のうち、16万9200人を確保済みだと明らかにしていた。兵士以外の人員も合わせた軍の人員枠は21万5000人となっている。
「志願兵の兵役期間は4年以上となっており、過去の徴兵制に比べると改善されている」と邱は議員らに説明し、こう続けた。「我々は志願兵の部隊に重点を置いている。彼らは4年以上にわたる訓練や演習を通して、武器や装備についての技術や知識を磨いていく」
与党議員から、ウォール・ストリート・ジャーナルの下した評価について改めて問われると、邱はいつになくきっぱりとした口調で、次のように述べた。「私が取材を受けていたら、重要なのはリーダーシップだと答えていただろう」
「台湾軍の部隊に、敵に抵抗する決意があるのかとあなたは問うが、私にその決意があるのだから、ほかの者にもあるはずだ。軍の全ての将校にその決意があれば、異なる考えを持つ者などいないはずだ」と彼は述べ、さらにこう続けた。「国防部長として私は、最後の最後まで敵に抵抗する強い決意を持ち続けることを、ここに断言する」
「私は軍の各部隊を信じている。重要なのはリーダーだからだ。そのほかの者については、教育や訓練を重ねていけばいい」とも彼は述べた。「全員が私の掲げる基準を満たすまで、訓練を受けることになる」