中国ストリーミング大手、『イカゲーム』模倣疑惑で炎上
『イカゲーム』のポスター wikipedia
<あからさまに類似した番組名に、テーマもほぼそのまま借用。中国国内からも呆れ声が>
Netflixで異例のヒットを飛ばすデスゲーム作品『イカゲーム』に、あからさまな模倣作が登場した。中国アリババ傘下で配信大手のヨウク(优酷)が、『イカゲーム』ならぬ『イカの勝利』と題したバラエティ番組を企画していたことが判明し、炎上している。
ヨウクは10月20日、新番組『イカの勝利』の番組内容とポスターを公開した。ポスターのビジュアルと番組コンテンツが人気作を非常に強く意識した内容となっており、中国国内で批判が噴出している。
ポスターは黒の背景に白字で、番組名である『魷魚的勝利』の文字が踊る。タイトルが意味するところは、「イカの勝利」だ。番組ロゴはオリジナル作に似せたポップな書体となっているほか、ピンクのマル・バツ・サンカクのマークを盛り込んでいる。これは、イカゲームのストーリー内で繰り返し使用されているモチーフだ。
ヨウク版の番組内容は、子供時代に親しんだ懐かしい遊びを、大人たちが大掛かりに再現するものとなっている。バラエティ番組でありジャンルこそ違えど、本家イカゲームとほぼ同じテーマをもとにしている。
中国では原則としてNetflixを視聴することができないが、人気コンテンツは違法ストリーミングサイト経由で消費されることが多い。本件もオリジナル版を視聴した人々が類似性に気づき、批判の先鋒となったものとみられる。
批判を受けヨウクは、Weiboへの投稿を通じて公表当日中に謝意を表明した。同社は「技術的ミス」により、本来公開すべきでない初期段階のデザインが公表されてしまったと説明している。番組名からイカを除いた『勝利のゲーム』に改題し、マルやバツなどのシンボルを排除した新たなロゴデザインに差し替えた。
中国国内の反応は
人気作への便乗行為に対し、恥ずべき行いだとする認識が中国国内で高まっている。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(以下「SCMP」)は、Weiboユーザーたちから同社の番組に対し、「露骨なひょう窃」「恥ずべき行為」などの批判が集中していると報じた。
初期案が公開されてしまったという説明についても、多くのユーザーが見え透いた口実だと受け止めたことで、新たな火種となっている。
SCMP紙の一部の読者は、模倣はエンタメ業界の常であるとして擁護する立場だ。ある読者は「誰もがコピーしており、最大の模倣者はハリウッドであるが、ハリウッド作は『リメイク』と呼ばれる」とし、アイデアの模倣がここまで問題にならないことも多いとする見解を披露した。
一方、中国の模倣文化の新たな例だとして呆れる声も聞かれる。同紙へのあるコメントは、「トレーシング・ペーパー......あらゆる中国の『発明家』の最も重要なツールのこと」と揶揄する。
別の読者は、今回の模倣作が中国国内からも厳しく糾弾されていることを受け、次のようにコメントした。「タイトルさえ変えずに何かをコピーするとは、なんという恥知らずなのだろう? 中国の人々にとってさえ受け入れ難いほどやり過ぎてしまったということだろう。」