コロナ軽視のボルソナロ、万事休す?ブラジルの上院委員会が「人道に対する罪」で訴追勧告へ
Brazil Senate Recommends Bolsonaro Be Charged With Crime Against Humanity
無謀なコロナ対応で再選が危ぶまれ始めたボルソナロ Adriano Machado-REUTERS
<検察が動くかどうかは怪しいが、ボルソナロが再選を目指す来年の大統領選には不利に働くかもしれない>
コロナ禍に対する政府の対応を調査してきたブラジルの上院委員会は10月20日、「人道に対する罪」でジャイル・ボルソナロ大統領の訴追を勧告する報告書の草案をまとめ、提出に向けて最終的な審議に入った。
ブラジルでは新型コロナウイルス感染症による死者が60万人を突破し、アメリカに次いで世界2位となっている。新型コロナを「ただの風邪」と軽視してきたボルソナロの対応には、国内でも不満が渦巻いている。
レナン・カリェイロス上院議員が提出した報告書の草案は、委員会が半年間進めてきた調査の結果をまとめたもの。人道に対する罪のほか、デマの拡散、煽動など9つの罪で、ボルソナロを訴追するよう求める内容だと、匿名を条件にAP通信の取材に応じた2人の委員が明かした。
ボルソナロはマスクの着用など国際的な公衆衛生ガイドラインを無視し、感染拡大を防ぐ規制措置を怠り、制御不能な感染爆発を招いたと非難されている。ワクチンの調達が遅れたことに加え、国民にエビデンスのない治療薬の使用を勧めたことも問題にされている。
検察が動く保証はなし
ボルソナロは容疑を全て否認し、委員会の調査は自分を陥れるための政治的な動きだと主張している。
以下はAP通信が伝えた詳細。
上院の委員会は10月26日にこの報告書の採決を行うことになっており、それまでの審議で内容が修正される可能性は残されている。また報告書はボルソナロが任命した検事総長に提出されるため、勧告を受けて検察が動くとは限らないと、アナリストらは指摘する。
報告書が挙げる容疑には、公金の不正使用と「業務上の不正」も含まれる。業務上の不正とは、公務にある者が職務の一環として義務付けられた行為を私的利害のために先送りにしたり実行を怠ったりすることだ。
政府のコロナ対応への批判の高まりを受けて、上院は今年4月調査委員会を設置。政府の怠慢が多くの死者を出したとの主張の妥当性を検証してきた。
カリェイロスが報告書の草案をまとめ、20日に11人のメンバーから成る委員会に提出した。提出された草案の元のバージョンは1200ページに上っていた。