最新記事

NAVY SEALS

ネイビー・シールズ地獄の訓練で「嘘だろ?」...衝撃の展開が示したリーダーシップの重要性

EXTREME OWNERSHIP

2021年10月11日(月)10時45分
ジョッコ・ウィリンク(元ネイビー・シールズ精鋭部隊「ブルーザー」指揮官)、リーフ・バビン(元ネイビー・シールズ精鋭部隊「ブルーザー」小隊指揮官)
ネイビー・シールズの訓練

ゴムボートをチームで運ぶ訓練はネイビー・シールズで最も有名 AP/AFLO

<結果を変えるのは、チームメンバーか、それともチームリーダーか。米軍最強部隊「ネイビー・シールズ」指揮官が経験を基にまとめたリーダーシップのあるべき姿>

2011年、ウサマ・ビンラディン暗殺事件の実行者として世界にその名をとどろかせた米海軍特殊部隊「NAVY SEALS(ネイビー・シールズ)」。

2003年に始まったイラク戦争にも参加したが、2006年のラマディの戦いでネイビー・シールズの精鋭部隊「ブルーザー」を率いたのがジョッコ・ウィリンクとリーフ・バビンだ。

ウィリンクとバビンは、米軍最強部隊での経験を基にリーダーシップのあるべき姿を本にまとめた。

『米海軍特殊部隊(ネイビー・シールズ)伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』(邦訳・CCCメディアハウス)はこれまでに、全米で230万人の読者を獲得し、世界29言語で刊行されている。

最前線で命のやりとりを繰り返す日々の中で、部隊のメンバーを生き残らせつつ任務を達成するために彼らが学び取ったリーダー術は、ビジネスや日常生活でも生かせるはずだ。

ニューズウィーク日本版では、10月5日号の「ビジネスに役立つ NAVY SEALS 12のリーダー術」特集で同書の抜粋を掲載。

以下にその抜粋の一部を掲載する(第2回)。

――ニューズウィーク日本版編集部

※第1回:イラクの戦場でミス続出、「責任を負うべきは私だ」と言った指揮官から学ぶリーダー術

【Part 2】出来の悪いチームなどない

「勝利で全てが報われる!」

ブルーとゴールドのシャツを着た、鬼と恐れられているネイビー・シールズの教官が、メガホン越しに叫ぶ。

シールズ訓練の中でもとりわけ悪名高い「地獄週間(ヘルウイーク)」も、3度目の夜を迎えていた。

迷彩服を着た訓練生たちはずぶ濡れになり、ザラザラの砂にまみれ、皮膚が赤く擦りむけて血が噴き出ている。

南カリフォルニアの夜の海水と寒風にさらされて、誰もがぶるぶる震えている。痛みと苦痛を抱えたその動きは、72時間ほぼぶっ通しで運動した人間にしかできないものだ。

疲労困憊しているのは、この3日間、トータルで1時間も眠っていないから。「地獄週間」が始まって以来、もう何十人もが辞めていった。病気になったり負傷したりで、リタイアさせられた者もいる。

数週間前、このクラスがシールズの基礎訓練コースである「基礎水中爆破訓練(通称BUD/S)」を開始したときは、決意に満ちた200名ほどの若者が、目を輝かせて参加した。誰もが米海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ」の一員になる日を夢見て、何年も準備を重ね、卒業する気満々でBUD/Sにやって来たのだ。

それなのに「地獄週間」が始まって48時間もたたないうちに、大半が苛烈な試練に屈服し、自主脱落(DOR)の合図である鐘をカンカンカンと3度鳴らして、シールズ隊員になる夢を捨てた。そう、去っていったのだ。

「地獄週間」は、体力テストではない。むろん運動能力は求められるが、「地獄週間」の前に何週間ものBUD/S訓練に耐え抜いた訓練生はみんな、卒業できる体力があることを証明済みだ。これは体力テストではなく、精神力のテストなのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中