中国政府「飯圏(ファン・グループ)」規制の真相
今年6月に上海青年研究センターが7,000人以上の中学生を対象に行った調査によると、44.9%の中学生が、以下のような行為を事務所にあやつられて「飯圏」に参加していることが分かった。
●好きなアイドルのランキングを上位に押し上げる
●好きなアイドルに反対するコメントを叩き攻撃し、時には通報する
●さまざまなネットプラットフォームで、自分の好きなアイドルを褒めるコメントを書き込み、褒めるコメントに「いいね」を押して、反対するコメントを通報する
●ファンの資金を集めて、みんなで好きなアイドルのために消費する
●Weiboなどで、自分の好きなアイドルの超話(スーパー話題=ツイッターのトピックみたいなもの)で発言し、コメントする
●アイドルのライブを観にいく
●投げ銭などを含めて好きなアイドルにプレゼントを贈る
●QQなどのインスタントメッセンジャーソフトで、アイドルのファンチャットグループに参加する
●好きなアイドルのグッズなどを転載したり、そのアイドルが出演するCMの対象商品を購入する・・・などなど
こうしてアイドル事務所による「人気アイドル」の「虚像」が「金」と「事務所にあやつられた若者の行動」によって創り上げられ、事務所および関係する企業がぼろ儲けをしていくという仕組みが大規模に組織化されて闇でうごめいている。
また、たとえば、タレントXとライバル関係にあるようなタレントYがいたとき、Xの「飯圏」たちはYに負けまいと、より多くの投げ銭をXに注いだり、Yの激しい悪口をネットに書いて拡散させたりということを互いの「飯圏」メンバーがやっている。
青少年は何を求めて「飯圏」に参加するのか?
あるユーチューバーが飯圏のメンバーである妹に取材して、ネットでタレントXのファンでない者を総攻撃して虐める行為に関して、「なぜそういうことをするのか」と尋ねたところ、妹は「だって気分がいいからさ」と、あっけらかんと答えている。
中国のネットユーザー数は2021年6月時点で10億人以上に達し、ネット普及率は71.6%になっている。
日本でもネットによる攻撃で命を絶った方もおられるが、中国での暴き方と攻撃のスケールは日本と比較にならないほど激しく、自殺が後を絶たない。
「飯圏」のメンバーの多くが社会的判断力をまだ養われていない十代前半の青少年が多いため、自分でお金を稼ぐ能力はない。そこで両親や祖父母のクレジットカードを盗み、両親や祖父母が生涯かけて貯めてきたお金を、アイドル事務所に煽られるままに「飯圏」が応援するアイドルのために使い果たしてしまうというケースも散見される。