最新記事

「コロナワクチンを打つとEDになる」「睾丸が腫れる」は本当か

Your Penis, COVID and Vaccines

2021年10月7日(木)18時17分
アイマン・イスマイル(スレート誌)

211012P56_CDN_02.jpg

ミナージュの「ワクチンで睾丸が腫れた」というツイートは単なる噂話だが RICH FURYーGETTY IMAGESーSLATE

ストレスがかかると、勃起しにくくなる。そして、慢性的に強いストレスを感じている人はアドレナリンの分泌量が慢性的に多く、それもペニスへの血流を減少させる。新型コロナそのものより新型コロナによるストレスのほうが、勃起不全の原因となっている可能性はずっと高い。

――ワクチンの影響は?

ない。ある研究では、ワクチン接種後、精子の数が減るのではなく一時的に増えたという結果が出ている。よって、少なくともコロナワクチンが男性の生殖能力に害を与えることはないと言える。

ワクチン接種後、一時的にインフルエンザのような症状が出て、1~2日は悪寒がすることはある。その間は性的機能が低下する場合もあるが、これは免疫反応が強く出た結果であり、一時的な現象だ。

――新型コロナワクチンの副反応として、睾丸が腫れることはある?

ない。このワクチンは体内に感染症を引き起こすものではない。新型コロナウイルスに対する抗体を刺激するが、精巣組織に対する抗体を刺激するわけではない。

一方、新型コロナウイルスは、実際に精巣の細胞を攻撃することがあり得る。なぜなら、ウイルスは精巣の細胞と結合し、細胞内で自らを爆発的に増殖させるからだ。

――睾丸が腫れる原因は?

最も一般的な原因は感染症だ。若い男性に多いのは、クラミジアなどの性感染症。高齢男性の場合は、腸管の大腸菌などによる感染症だ。

――一般の人々にぜひ知ってほしいことはある?

新型コロナワクチンと男性の「性の健康」との関連についての調査で分かったのは、一時的に精子の数が増加するということ。その他の健康への影響は、否定的な影響も含めて何も確認されていない。

健康に関する情報をネットで探すのであれば、査読済みの学術論文が掲載されている「PubMed」(医学論文の検索データベース)のような評価の高い情報源を利用すること。内容を理解するのは難しいかもしれないが、少なくとも医師や疾病対策センター(CDC)に質問したり問い合わせたりすることはできる。

一方、ソーシャルメディアや有名人のウェブサイトや闇サイトなど、誤情報を拡散しているところは避けてほしい。

――最後に確認したい。男性の「性の健康」にとって新型コロナワクチンを打つのと打たないのとでは、どちらがリスクが大きい?

打たないほうが大きい。死んだらセックスを楽しむこともできないからだ。

©2021 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英外相、ウクライナ訪問 「必要な限り」支援継続を確

ビジネス

米国株式市場=上昇、FOMC消化中 決算・指標を材

ビジネス

NY外為市場=円上昇、一時153円台 前日には介入

ワールド

ロシア抜きのウクライナ和平協議、「意味ない」=ロ大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中