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欧州EU、バルカン6カ国の加盟を確約 中ロの影響牽制する狙いも
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欧州連合(EU)加盟27カ国は6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。5月撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)
欧州連合(EU)加盟27カ国は6日、スロベニアで開いた首脳会議で、セルビアやアルバニアなどバルカン諸国6カ国の将来的なEU加盟を確約した。18年前の確約を改めて確認した格好だが、移民・難民問題への警戒から2030年の加盟を目指すとする期限は設定しなかった。
EU首脳は、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、コソボ、アルバニアの6カ国について、司法改革や経済状態を含む基準を満たせばEUに加盟できるとの見解で一致。声明で「EUは拡大プロセスへのコミットメントを改めて確認する」とし、「西バルカン諸国の欧州的な展望に対する揺るぎない支持」を表明した。ただ、これらの国の「信頼できる改革」や「公正で厳格な条件」などを注視するとも明記した。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、バルカン諸国を「家族」と表現。フランスのマクロン大統領も、バルカン諸国は「欧州の中心部」であり、EU加盟への道を開くに値すると述べるなど、融和的な姿勢を示した。
ただ、ドイツのメルケル首相とオランダのルッテ首相らは加盟期限の設定に反対。議長国のスロベニアは2030年までの加盟を目指すことで合意するよう呼び掛けていたが、今回の首脳会議では期限の設定は見送られた。
EUのミシェル大統領とマクロン大統領も記者会見で、EU加盟国の数が現在の27カ国から33カ国に増えれば、EUとしての意思決定が一段と複雑になり、EU改革が迫られるとの認識を示した。
EU首脳は首都リュブリャナ近郊のブルド城で行われた5日の夕食会で、中国、アフガニスタン、米国などに対するEU外交政策について討議。世界銀行によると、バルカン諸国の国際貿易に占める中国の割合は現在は約8%にとどまっているが、インフラ投資計画への大規模な出資を提案。ロシアはバルカン諸国との歴史的なつながりを利用しEUと米国の関与を排除しようとしており、バルカン諸国のEU加盟に反対している。
こうした中、一部EU首脳は、EUはバルカン諸国から外交政策に着手する必要があると主張。ラトビアのカリンス首相は、バルカン諸国は「われわれの裏庭だ」と述べたほか、オーストリアのクルツ首相は「EUがこの地域に注目しなければ、中国、ロシア、トルコなどの大国が大きな役割を果たすことになる。この地域は地理的に欧州に属しており、欧州的な展望が必要になる」と述べた。
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