医療資源不足で年齢や人種による命の選別が始まった
Idaho Sued Over Using Rationing Medical Care
この数カ月で、ほかの複数の州でも同じような苦情申し立てがなされている。新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、アリゾナ州、ユタ州とテキサス州北部の公衆衛生当局が非常時の治療計画を修正しており、ジャスティス・イン・エイジングやその他の障害者権利・公民権擁護団体が苦情を申し立てている。
アイダホ州は、医師が患者の生存見込みを判断するのを手助けする基準として、「SOFA(臓器不全評価)」スコアも導入している。
SOFAスコアは、患者の主要な臓器システムがどれだけ機能しているかを評価するものだ。だがジャスティス・イン・エイジングの弁護団は、エール大学の研究チームが最近実施した複数の研究で、患者が黒人の成人である場合、SOFAスコアでは生存見込みを正確に予測することはできないことが示されたと指摘している。
ジャスティス・イン・エイジングの訴訟担当ディレクターであるレーガン・ベイリーは、どの患者を優先するかの判断基準に年齢を用いることは、1975年の年齢差別禁止法や医療保険改革法に違反していると主張する。
「年齢の二重加算」とは
各種ガイドラインに定められている患者の評価方法には、加齢が人体に及ぼす影響という要素が既に加味されているとベイリーは指摘。患者の優先順位を決める基準として、その上さらに年齢を用いることは「年齢の二重加算」になり、高齢者を不利な状況に追い込むと主張した。
「州に対しては、年齢を独立した要素として判断基準に盛り込まず、SOFAスコアにも頼らないよう求める」とベイリーは述べ、さらにこう続けた。「命を救うことができる治療から、黒人を不当に遠ざけることが示されているツールが使われ続けていることを懸念する」
アイダホ州保健福祉省のスタールは、非常時治療計画の作成には、災害医療諮問委員会、州医療局、独立生活審議会、州検事総長事務局と保健福祉省をはじめとする複数の機関が関与したと述べ、これまでのところ、同州で患者の優先順位を決めるための判断基準が用いられたケースはないと説明。「そうした基準が必要になる状況は、きわめて稀だろう」と述べた。