再婚で生じるステップファミリーで「子どもの虐待」を防ぐ方法
すなわち、結愛ちゃんの"新しい家庭"がこれにあたるわけだ。
対するもうひとつの新しいタイプが、著者が言うところの「継続モデル/連鎖・拡張するネットワーク型」である。
離婚・再婚後も親子関係は継続します。家族は、複数の世帯にまたがる関係のネットワークとして存続し、継親などがそのネットワークに加わることで拡張する家族です。(171ページより)
そんな理想的な、ある意味では固定観念を覆すような新しい関係性を実現することは可能なのかと疑問に思われるかもしれない。
最初は私もそう感じたのだが、本書で紹介されている「継続モデル/連鎖・拡張するネットワーク型」の実例を確認すれば、良好な関係を実現することは難しいものではないことが分かる。
しかも、いわゆる「ふつうの家族」とは異なるものの、ステップファミリーは決して劣った家族ではない。
従来の家族観や固定観念にとらわれず、「継続モデル/連鎖・拡張するネットワーク型」という"子ども中心"の新たな家族を形成していけば、そこから独自の強みが生まれ、子どもたちにポジティブな効果をもたらす可能性があるのである。もちろんそれは、大人たちにもよい影響を与えることになるだろう。
これからも離婚件数は増え、ステップファミリーもさらに増えていく可能性がある。そうならないに越したことはないが、おそらくなっていくだろう。
だからこそ旧来的な価値観に縛られることなく、前向きに、「これからの時代の家族の在り方」を模索していくことが大切なのだ。
『ステップファミリー
子どもから見た離婚・再婚』
野沢慎司、菊地真理 著
角川新書
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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。新刊は、『書評の仕事』(ワニブックス)。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。