日本の大学生の休学率が、他国と比較して桁違いに低い理由
だが国際比較のデータをみると、そればかりを強調するのはためらわれる。15~24歳の学生のうち、今通っている学校を休学している者は何%かを国別に出すと<図2>のようになる。
感染症の影響が出る前の比較だが、スウェーデンでは高校生年代でも1割弱、韓国・アメリカ・イギリスの20代前半では2割にもなる。徴兵制などの理由もあるだろうが、日本とはケタ違いだ。
休学というとアパシーや経済苦といった負のイメージが付きまとうが、そうでないものもある。留学をするとか自己を見つめ直すとか、積極的な意味合いのものはいくらでも考えられる。海外でのボランティアもそうで、世界がぐっと縮まった今、世界規模の課題の解決に寄与したいと思う学生も多いはずだ。こうした学び(体験)ができるよう、大学に働きかけ、休学中の学費の減免を勝ち取った学生もいる。
青年期はアイデンティティーを確立すべく、様々な試行錯誤が許された「モラトリアム」の時期だ(発達心理学者のエリク・エリクソン)。「寄り道」を認めてもいい。<図2>のグラフから、日本の年齢主義の弊害も透けて見える。応募してきた学生の履歴書を見て、「なぜ22歳を過ぎているのだ?」などととがめるのは時代遅れだ。