最新記事

飛行機

マスク不注意で搭乗拒否、激昂する客と石になる客室乗務員

Couple Kicked off Flight for Not Wearing Masks Properly, Filmed Abusing Staff

2021年9月13日(月)17時13分
リディア・ベルジャノフスキ
客室乗務員

マスク問題で飛行機から降りるよう指示された乗客が暴言を吐く姿は、スマホで撮影されていた。jacoblund-iStock

<公共交通機関でのマスク着用が義務付けられているアメリカでは、航空機内のトラブルが頻発。激昂して罵詈雑言を撒き散らす客に対し、訓練された乗務員の態度はさすが>

昨今のアメリカではよくある話だ。9月9日に新しい新型コロナ対策を発表したジョー・バイデン大統領は、航空機のマスク着用義務をめぐって頻発する暴力沙汰に触れ「少しは敬意を払え。テレビで、自分の務めを果たす客室乗務員たちに怒りをぶつける様子をよく目にするが、間違っている。醜い」

この演説の前後、あるカップルがまた事件を起こした。フロリダ州フォートローダーデールからカリフォルニア州サンディエゴに向かう米格安航空会社ジェットブルー・エアウェイズに搭乗しようとしたとき、マスクを適切に着用していないとして飛行機から降りるように指示されたのだ。カップルは、客室乗務員に対して怒鳴りまくり、ひどい暴言を吐き散らした

同乗していたアリス・ルッソはこのときの様子をスマートフォンで撮影し、動画を9月10日にインスタグラムに投稿した。「この2人は、マスクを適切につけなかったために飛行機から降ろされた。2人はずっと鼻からマスクを外していた」というコメントがついている。

この衝撃的な動画は、マスクを顎にかけた男性が、機体の前方に立って客室乗務員を罵り、怒鳴りつける場面から始まる。「よくもそんなことを!」と男性はわめき、手を差し伸べようとした乗務員スタッフに向かって、この便に乗るために「4時間も待ったんだ」と叫んだ。

自分はたった一度しか警告されていない、「この人(客室乗務員)に何か言われた瞬間に、マスクを直したんだ」と、男は言い訳し始めた。こんなことは「ひどすぎる」

降りた後は乗客から拍手

次に、カメラは後部の通路にいた女性の姿を映し出す。この女性は搭乗時に「足がふらついていたので、ちょっと酔っぱらっていると思った」と、ルッソは説明している。

前方で怒っていた男性の妻だろうか、女性は乗客に向かって、しきりに息子のマスクが一時的に顔から落ちただけだ、と言っていた。

自分と息子は「謝罪し、マスクを着けなおした」と女性は訴えたが、乗務員はそれを認めなかった。「どうして私たちが追い出されなければならないの。わけがわからない!」「訴えてやる。私の知り合いはみんな弁護士よ!」

前方の男性は客室乗務員の横をすり抜けて座席に戻ろうとしたが、無駄だった。乗客からは「飛行機から降りろ」という声が上がった。この男女が最終的に飛行機を降りたとき、乗客から拍手が沸き起こった。

事件後、ジェットブルーは以下の声明を発表した。「同便に乗り合わせたお客様にはご迷惑をおかけいたしました。参考までに、乗務員は当社の規定に従わないお客様には注意するよう訓練されております」

「マスク着用をお願いしても聞かないお客様に対しては、規定に基づいた適切な環境を確保するために、離陸前に事態を収拾するよう最大限の努力をすることになっています」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中