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気候変動

現在の気候変動は本当に危機なのか、それとも杞憂か...科学者たちの見解

CLIMATE CHANGE IS A CRISIS

2021年9月2日(木)13時41分
ヘザー・ゴールドストーン(ウッドウェル気候研究センター)、ジェームズ・テーラー(ハートランド研究所所長)

この事実を踏まえると、世界の他の国々から「アメリカは世界の他の国々と歩調を合わせよ、アメリカは世界規模の行動を妨げている」と言われるのはなぜなのか、私は不思議に思う。むしろ世界の国々は、アメリカに教えを請うべきではないか。

アメリカは自由市場と技術革新、経済的要因によって石炭から天然ガスへの転換を進め、温室効果ガスの排出量を削減している。

アメリカの経済規模は国内総生産で世界最大だが、中国の温室効果ガス排出量はアメリカの20倍以上だ。仮にアメリカが20年前に温室効果ガスの排出を完全に止めていたとしても、世界全体の排出量は依然として増加していただろう。

アメリカは温室効果ガスの排出を減らしてきたし、今後も削減を続けるだろう。だが何らかの形で気候行動を取るとしても、それを他の国々に強制すべきだとは思わない。人類は気候変動の危機に直面しているわけではないからだ。

地球温暖化の阻止という名目で、アメリカが自国の経済にダメージを与え、自国の消費者と企業を挫折させることは許されない。中国を含め、どこの国も気候変動など気にしていないし、本気の行動など起こしていないのだから。

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