創造性が爆発する黄金期「ホットストリーク」、才能開花の鍵は2つの習慣だった
その後、こうして確立した独創性に集中的に取り組む「活用期」に入り、ユニークな作品を数多く生み出すことになる。活用期に入ると、明らかにその前後の期間と異なる特徴が検出されるようになる。大胆なタッチで魅了するフィンセント・ファン・ゴッホは、1888年からの活用期に入る以前、特徴的な短く激しいストロークをほとんど使用していない。初期の作品にみられるのは、平面を塗り尽くすような筆遣いと抑圧気味の色彩だ。
さらに、ユニークな技法と作風が世に評価されることで、重要な成果が連続して生まれるホットストリークに突入する。その期間は平均で5年間ほど続くが、ひとつの手法に固執することで独創性が失われ、インパクトのある成果を継続的に生み出すことが難しくなってゆく。研究チームは、数年を経てやがてキャリアの絶頂期は収束に向かうとしている。
「近道」はあり得る?
探索と活用の2つのフェーズがホットストリークに関連していることは、直感的にも理解しやすい概念だ。過去の研究でもある程度知られているが、必ずしも両方のステップが必要かどうかは判然としていなかった。例えば任意の技法に取り組む「活用期」だけで成果が出るならば、失敗リスクのある探索期を避けてもよいことになる。
そこで研究チームは今回さらに踏み込み、AIで分析したキャリアをもとに、「通常期」「探索期」「活用期」を2つのフェーズで掛け合わせ、計9通りのパターンで過去のキャリア例を分類した。結果、ホットストリークの出現率が有意に上昇したのは9パターンで唯一、「探索期」に続いて「活用期」に取り組んだケースのみであったという。近道は存在せず、探索期も含めてセットで実行することが成功の秘訣ということになる。
自分らしさを探して迷い自信を失う日々も、成功の前触れなのかもしれない。