「パックス・アメリカーナ」はアフガンで潰え、テロと中国の時代が来る
PAX AMERICANA DIED IN KABUL
対照的に中国の利害にとって、世界最強の米軍に対するタリバンの勝利はプラスに働きそうだ。アメリカの敗走はその国力の不可逆的な衰退を際立たせ、(台湾を含めて)中国の強権的拡張主義の対象地域を広げることになるだろう。
機を見るに敏な中国が鉱物資源の豊富なアフガニスタンに戦略的進出を図り、パキスタン、イラン、中央アジアへの浸透を強めていくことは確実だ。中国は既にタリバンを取り込むため、アフガニスタンの統治に必要な2つの要素、外交的承認と経済的支援をほのめかしている。
ジハード(聖戦)を称賛する中世的なイスラム首長国の復活は、アメリカの背信行為の記念碑となるだろう。カブールの大使館からアメリカ人を脱出させるヘリの映像は、1975年のサイゴン陥落を世界に思い起こさせ、パックス・アメリカーナの終わりを痛感させた。