タリバン政権のテロ復活抑止に関する米中攻防――中露が「テロを許さない」と威嚇する皮肉
――中国は常に、アフガン問題を解決するには政治的解決が唯一の方法であると主張してきた。(中略) 中国は、アフガニスタンの円滑な移行を確保し、あらゆる種類のテロリストや犯罪行為を抑制し、アフガニスタンの人々が戦争や混乱から逃れてより良い祖国を再建できるよう期待している。(中略)過去20年間、ISIS、アルカイーダ、東トルキスタン・イスラム運動(EIM)などのテロ集団がアフガニスタンに集まり発展し、国際的・地域的な平和と安全に対する深刻な脅威となってきた。アフガニスタンを再びテロの巣窟にしてはならない。これは、アフガニスタンにおけるこれからの基本原則である。 アフガニスタンのタリバンが約束を守り、すべてのテロ組織との関係を完全に断ち切ることを願っている。 すべての国は、国際法と安全保障理事会の決議に従って義務を果たし、すべてのテロとの戦いに協力し、ISIS、アルカイーダ、東トルキスタン・イスラム運動などのテロ組織が機に乗じて活動を再開するのを断固として阻止すべきだ。
8月16日、王毅外相がブリンケン国務長官との電話会談で再強調
8月16日は目まぐるしく事態が動いていた。同日、アメリカのブリンケン国務長官が王毅外相に電話会談を申し込み、王毅が応じていたのだ。中国の外交部のウェブサイトによれば、ブリンケンと王毅の間には概ね以下のような会話がなされたという。テロ関係部分だけピックアップして記す。
ブリンケン:アフガニスタンに関するドーハ会合への中国の参加に感謝する。タリバンは過激派との決別を示し、秩序ある権力の移譲と包括的な政府を選ぶべきであり、そのためにも中国が重要な役割を果たすことを期待している。アメリカはアフガニスタンの将来はアフガニスタン国民が決定すべきであることを支持する。
王毅:歴史・文化・国情が大きく異なる国に、外国の政治体制モデルを適応させることが如何に難しいかが、事実によって改めて証明された。 政権は国民の支持なしには成り立たず、問題解決のために権力や軍事的手段を用いることは、問題をますます大きくするだけだ。この教訓を(アメリカは)真剣に反省しなければならない。中国は、アメリカとも意思疎通をしながら、アフガニスタンで新たな内戦や人道的災害が起こらないように、また、テロの温床や避難所にならないように働きかけていきたい。アメリカの前政権(トランプ政権)は「東トルキスタン・イスラム運動のテロ組織としての認定を解除する」と発表したが、これはテロ対策の問題に関してダブルスタンダードを取っており、非常に危険で間違っている。アメリカはその姿勢を改め、アフガニスタンや国際的なテロ対策協力に関する中米協力の障害を取り除くべきである。