最新記事
台湾

コロナ第2波も即座に封じ込め成功の台湾、見習うことしかないその対応

Why Taiwan Is Beating COVID-19 –– Again

2021年8月4日(水)17時48分
ウェイン・スン(米バッサー大学助教)

日本は台湾に、約330万回分のアストラゼネカ製ワクチンを贈った。アメリカもこの2カ月でモデルナ製ワクチン250万回分を無償供与した。リトアニアやスロバキア、チェコなども同様な支援を表明している。

これにCOVAX(ワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み)とアメリカから購入した分も合わせ、台湾は既に人口の30%以上が少なくとも1回のワクチン接種を終えている。5月にはわずか1%だったことを考えれば劇的な増加だ。

もちろん、現時点までの成功が今後も続く保証はない。感染力の強い変異株が入ってくれば、オーストラリアやベトナム、シンガポールなどの二の舞いもあり得る。

それでも台湾には、みんなが一致団結して感染症の脅威と戦ってきた歴史がある。その貴重な経験を生かせば、第3波の感染拡大を防ぐことも、きっとできる。

人権や自由を奪わない形で成功した意味

各国の公衆衛生当局者や医療専門家に、筆者は言いたい。台湾は民主主義を損なうことなく新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功した。できるだけ基本的人権や自由を奪わない形で、PCR検査や感染ルートの追跡、感染者の隔離を行い、そのやり方を段階的に改善してきた。

台湾政府は、米国立衛生研究所の支援を受けて開発した自前のワクチンを他国に提供する可能性も示唆している。そこには、グローバルな医療コミュニティーの責任ある一員になりたいという強い思いが込められている。

マスクの寄贈や感染予防ノウハウの提供を通じて、台湾は一貫して国際社会に貢献してきた。その台湾がWHO総会に、せめてオブザーバーとしてでも参加することは絶対に必要だ。台湾には、できることがある。それを無駄にしないでほしい。

©2021 The Diplomat

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中