最新記事

感染症対策

FDA、ファイザーの新型コロナワクチン正式承認 米国で初

2021年8月24日(火)09時55分
米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン

米食品医薬品局(FDA)は23日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンを正式承認した。写真は3月19日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

米食品医薬品局(FDA)は23日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンを正式承認した。米国で新型コロナワクチンの正式承認は今回が初めて。

米国では人口の半分強がワクチン接種を完了しているものの、ワクチンに対する懐疑的な見方も根強く、感染力の強いデルタ変異株が流行する中、正式承認によってワクチン接種を加速させたい考え。

バイデン大統領はツイッターへの投稿で「正式承認がファイザー製ワクチンの安全性や有効性を巡る信頼感を高める」と期待を表明した。

その後、ホワイトハウスの会見では、FDAによる正式承認を「パンデミック(世界的大流行)との戦いにおける大きな節目」と評価し、より多くの民間企業が従業員へのワクチン接種を義務化するよう促した。

さらに、ワクチン接種に消極的だった国民に対しては、「ワクチンを接種する時が来た。今日にでも接種しよう。無駄にしている時間はない」と呼び掛けた。

FDAのウッドコック長官代行は「すでに多くの人がワクチンの接種を受けているが、FDAの正式承認を受け、接種を受けることに対する信頼感が増すと考えている」と述べた。

ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は声明で、FDAが正式に承認したことで、ワクチンの有効性と安全性が確認されたとした。

正式承認は16歳以上が対象で、今後は「コミナティ(Comirnaty)」という製品名で販売される。12─15歳の接種については、一段のデータを見極めてから正式承認の是非が決定される。また、ウッドコックFDA長官代行は12歳以下の接種は現時点で推奨しないと述べた。

ファイザーは12歳以下への接種について、緊急使用許可を裏付けるデータを今秋にも提出する見通し。

FDAは正式承認にあたり、ファイザー製ワクチンの有効期限を従来の6カ月から9カ月に延長。FDAはこのほか、2回目の接種後に若い男性を中心に心臓に炎症が起きるリスクがあるとの見解を維持した。

ファイザー製ワクチンは昨年12月に緊急使用が認可され、接種が展開されていた。

米国防総省はFDAがファイザー製ワクチンを正式承認した直後に、軍関係者へのワクチン接種義務付けの用意を整えていると発表した。今後、州・地方政府や民間企業によるワクチン義務化に弾みがつくことも予想される。

FDAの正式承認を受け、ファイザーの株価は約4%、ビオンテックは約11%それぞれ上昇した。

米疾病対策センター(CDC)のデータによると、現時点でワクチン接種の対象である12歳以上の国民の71%が少なくとも1回目のワクチン接種終え、60.2%が接種を完了している。ワクチン接種対象外の子どもを合わせると、ワクチン接種を完了した国民は51.5%となる。

同様に緊急使用が認められている米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンはまだ正式承認されていない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中