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アメリカで政府や企業のワクチン接種義務付け進む デルタ株感染拡大で

Joe Biden Pushes New Vaccine Policies, Incentives as Virus Cases Surge

2021年7月30日(金)15時28分
エリザベス・クリスプ
バイデン

米国内の感染再拡大によりワクチン接種強化策を打ち出したバイデン。ワクチン接種報奨金100ドルも REUTERS/Evelyn Hockstein

<すでに1億6000万人以上がワクチン接種済みのアメリカでもデルタ株の感染が急拡大。連邦政府もグーグルなどの大企業も、接種義務化を打ち出した>

ジョー・バイデン米大統領は、感染力の強いデルタ型変異株の流行で感染者が再拡大していることから、ワクチン接種を促すための新たな施策を発表した。連邦政府職員にワクチン接種の証明を義務づけるなどの措置を導入し、州政府に対しては、ワクチン接種者に100ドルを支給するよう求めると発表した。費用は連邦政府が負担する。またグーグル、ツイッターなどのハイテク大手もオフィス再開までのワクチン接種を従業員に求めると発表した。

米疾病対策センター(CDC)は7月27日に、新型コロナウイルスの感染防止に関するガイダンス(指針)を修正し、感染が再拡大している地域では、ワクチン接種後も屋内ではマスクを着用するよう勧告した。これまでのガイダンスでは、ワクチン接種を済ませた人はマスクを着用する必要はないとしていたが、感染力の強いデルタ型変異株の流行により、米国内で感染者が増加していることを踏まえて、軌道修正したかたちだ。

バイデンは、29日にホワイトハウスで行った演説の中で、新たな施策を発表した。

「ワクチンは安全で、きわめて有効だ」と彼は記者団に語り、さらにこう続けた。「これは政治の問題ではない」

変異株の流行で感染が再拡大

新たな方針の下、全ての連邦政府職員および連邦政府ビルで働く請負業者に対して、ワクチン接種の証明が義務づけられる。接種証明を拒んだ者、あるいはワクチン接種を受けていない者は、定期的に検査を受けなければならない。バイデンはまた、国防総省に対して、軍人に接種を義務づけるワクチンのリストに、新型コロナウイルスワクチンを追加することを検討するよう指示すると述べた。

新型コロナウイルス感染症の死者数の累計が61万人近くにのぼるアメリカでは、これまでに1億6300万人以上がワクチン接種を済ませている。しかし若者やワクチン反対派などの間で接種が伸び悩んでいた上、デルタ株の流行で感染が再拡大している。一部では、ワクチン接種を完了した人への感染も確認されている(ただし接種していない場合に比べて軽症で済むとされている)。

バイデンはまた、ワクチン接種のために従業員に有給休暇を認めた企業には、連邦政府がその費用を補償すると表明。さらに若者のワクチン接種を促すために、各学校に対して「簡易接種センター」の設置を受け入れるよう呼びかけた。

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