中東の「あり得ない」協力体制が現実に──新秩序の鍵は天然ガスにあり
A NEW MIDDLE-EAST ORDER
ロシアはEUの天然ガス依存を維持し、欧州南東部に新たなガス回廊を建設しようとしている。とはいえ、欧米の核心的利益に対するロシアの脅威は封じ込めが可能だ。ロシアには中東の唯一無二の指導者の役割を果たす上で必要な、経済的・軍事的能力が欠けている。
結局のところ、アメリカは今後も中東における主要な軍事的プレゼンスであり、地域の安定の保証に不可欠の存在だ。中東の現状を覆そうとするイランやトルコ、ロシアを押し返し、東地中海での航行の自由を確保する上でアメリカ(とNATOに加盟する同盟国)は独自の立場にある。
しかし、正面対決は破滅的な結果をもたらしかねない。EMGFの恒久的なオブザーバーであるアメリカはその立場を活用して、トルコを仲間に入れるようEMGFを説得すべきだ。アメリカは偏らない姿勢によって、東アジアの「友好敵対国(アメリカの同盟国ながら互いに対立する国)」の衝突を回避してきた。中東でも、同様のバランスの取れた外交が求められている。