最新記事

米軍

米軍のアフガン撤退は中国との競争に集中するため? 判断は本当に正しいか

Biden’s Plan Doesn’t Add Up

2021年7月22日(木)17時57分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

第1に、米軍はアフガニスタンでしばらくの間交戦しておらず、アフガン軍に対する訓練と情報提供(空爆や無人機での偵察など)、空からの援護が主体だったこと。20年2月8日を最後に米軍に戦死者は出ていない(20年は1~2月の計4人)。

第2に、バラク・オバマが大統領としての任期終盤、米軍の要員数千人のアフガニスタン残留を決めたこと。「国家建設」のためではなく、パキスタンとの国境地帯で対テロ作戦の拠点にするためだ。

オバマは中央アジアに対テロ作戦の拠点を持つメリットを考え、(周辺国では唯一)アフガニスタンとの安全保障協定に署名していた。対テロ作戦は今も軍事的任務なのだから、アフガニスタンに基地を1つか2つ残したほうがいいだろう。米軍の存在が同国を内部崩壊からも守るならなおさらだ、という理屈だった。

以上の議論をバイデンは全て知っている。彼はオバマ政権では副大統領、それ以前は上院外交委員会委員長としてそれらの議論に加わった。

オバマの主張に一理あることは承知しているが、米軍が駐留を続ける限り、再び本格的な戦闘に巻き込まれかねないことも承知している。バイデンはそのリスクを避ける決断をした。しかしアフガニスタンが崩壊すれば、選択を誤ったと非難を浴びるだろう。

©2021 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ

ワールド

焦点:「化粧品と性玩具」の小包が連続爆発、欧州襲う

ワールド

米とウクライナ、鉱物資源アクセス巡り協議 打開困難

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ619ドル高 波乱続くとの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 7
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 8
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    関税ショックは株だけじゃない、米国債の信用崩壊も…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中