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「日本が台湾有事に武力介入すれば、中国は日本を核攻撃すべき」という動画がアメリカで拡散

2021年7月18日(日)10時31分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

それでも「背後に中国人民解放軍がいて六軍韜略を操っている」という疑惑は、アメリカのソーシャルメディア上で飛び交うのをやめようとしていない。

「六軍韜略」のアカウント上に過去1回だけ1人の退役軍人が登場したことがある

実は過去に1回だけ、退役軍人の王洪光が「六軍韜略」チャンネルに文章を発表したことがあるという記録を検索で見つけることができた。他の出演もあったかもしれないが、少なくとも今現在検索でひっかかるのは今年4月6日に文章を寄せたという記録だけである。

王洪光は2012年12月に退役した元中国人民解放軍南京軍区副司令官で、彼は退役後も過激な言動をすることから、当局から睨まれていたことがある。

このときも、中国人民解放軍の公式サイト「中国軍事網」は、「軍のスポークスマンではない王洪光の発言は、彼の個人的な見解でしかなく、ネットユーザーたちは王洪光の言動を過大に評価したり、過剰に反応して騒いだりしてはならない」というコメントを掲載したほどだ。

 「六軍韜略」と「軍」との接触は、このとき1回限りで、しかも中国人民解放軍の公式ウェブサイトで批判を受けているくらいなので、これを以て、「六軍韜略」の背後には「中国人民解放軍がいる」と位置付けるのは適切ではないだろう。

習近平は中国内のナショナリズムを恐れている

ナショナリストが生まれる背景には、1994年から始めた愛国主義教育があるので、自業自得だと言うしかない。おまけに江沢民は自分の父親がかつての「大日本帝国」の傀儡政権、汪兆銘政府の官吏だったことを隠すために、「自分がいかに反日か」を示そうと、愛国主義教育基地として「抗日戦争記念の地」を選び、愛国主義を「反日教育」に持っていってしまった。

習近平政権になってからは、「不忘初心」(初心、忘るべからず)をスローガンに、革命初期の心を忘れるなとして、革命の根拠地「延安」や長征を強調するようになってはいる(その原因に関しては『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で詳述)。

しかし三つ子の魂百までとでも言おうか、放っておけば若者は反日感情を刺激して「偉大なる中華民族の誇り」に燃える方向に走っていく。

ましてやネット社会。

インフルエンサーたちは、いかにアクセス数を稼ぐかということに血眼になっている。 アクセス数が多ければ多いほど金が入ってくる。手っ取り早いのはナショナリズムに訴えることだ。

しかしそういった動画は海外にまで拡散し、中国以外の国の人々から中国への非難の声が盛り上がる結果を招く。その分だけ中国は国際社会で孤立を深めることにつながっていくというサイクルが出来上がっていくのだ。

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