「日本が台湾有事に武力介入すれば、中国は日本を核攻撃すべき」という動画がアメリカで拡散
建国70周年記念(2019年)に披露された中国の新型ICBM「東風41」 Jason Lee-REUTERS
中国の軍事愛好家がネット公開した「日本が台湾有事に武力介入すれば中国は必ず日本を核攻撃する」という動画が拡散し、中国当局が慌てて削除したのだが、アメリカでは背後に中国共産党や軍がいるとして再拡散している。
熱狂的軍事愛好家「六軍韜略」
中国のネットユーザーの中に「六軍韜略」というアカウント名を持つ軍事愛好家がいて、彼は「西瓜視頻(スイカ・ビデオ、Xigua Video)」というプラットフォームで動画を配信している。言うならばユーチューバーのようなネットインフルエンサーの一人だ。
かつて中国のテレビ界で抗日戦争ドラマを粗製乱造してぼろ儲けしたように、最近ではできるだけナショナリズムを刺激してアクセス数を増やし、荒稼ぎをする連中が増えてきた。
「六軍韜略」は、その典型的なネットインフルエンサーで、人気が高い方である。
7月11日、彼が西瓜視頻で発表した動画のタイトルは「日本がもし軍事的に我が国の台湾統一問題に干渉してきたら、我が国は必ず"核攻撃日本例外論"を打ち出すべき」というもので、そのナレーションをはじめ内容や憎しみの激しさは類を見ないほどだ。
日本が一兵卒、一砲弾でも動かそうものなら、中国は直ちに日本を核攻撃し、それも日本が無条件降伏をするまで核爆弾を投げ続けるとある。中国は1964年に原爆実験に成功し、それ以来「決して中国側から先に核爆弾を使うことはない」と言ってきたが、「日本だけは例外だ!」として、かつて日本が中国を侵略した歴史を並べ立て、ネットユーザーのナショナリズムを刺激して、200万件以上のアクセス数を稼いだ。
7月12日にアメリカのRFA(Radio Free Asia)がツイッターでつぶやき、アメリカにまで拡散し始めたのを見て、中国政府は直ちにこの動画を削除し、さらにWEIBO上における、この動画へのコメントまで徹底して削除したので、そのことがまたアメリカで大きな話題になった。
一つだけ残っている宝鶏市政法委員会のアカウント上の動画
というのは、中国陝西省宝鶏市政法(政治法制)委員会もまた、「西瓜視頻」にアカウントを持っていて、「六軍韜略」の動画を転載していたのだが、当該動画がすべて徹底して削除されたというのに、宝鶏市政法委員会のアカウントに転載されている動画だけが削除されていなかったからである。
この「六軍韜略」本人の動画は、発表された後に当局が削除をしたので、言うならば「手動」の削除であって、予めリストアップされている「敏感ワード」によってフィルターにかけるという自動削除ではない。どうしても削除洩れが起きる。