経済依存してきた中国に、真っ向から歯向かうオーストラリアの勝算は?
A TEST CASE
悪化する両国関係にとどめを刺したのは、新型コロナウイルスだ。オーストラリア政府が、ウイルスの発生源について国際的な調査を呼び掛けると、中国はオーストラリア産の石炭や大麦、小麦、ワイン、羊などに次々と関税や制限をかけた。オーストラリアも、中国の世界戦略「一帯一路」絡みのプロジェクトを厳しい審査にかけることを決め、事実上の待ったをかけた。
オーストラリアにとって、これはある意味で国の存続に関わる問題だ。中国海軍はこの20年で、沿岸警備中心の部隊から、アジア太平洋の覇権をもくろむ勢力へと生まれ変わった。さらに中国は、大量の漁船を武装させて戦略的海域に派遣することにより、ベトナムの海底油田からフィリピンの漁場まで、幅広い海域を支配しようとしている。
オーストラリアはこれからどうなっていくのか。モリソン政権は年内に、アントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン米国防長官との外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)を開き、アメリカとの同盟関係を改めて強化したい考えだ。
「アメリカと同じく、オーストラリアでも『中国の本性が見えた』という認識が高まっていると思う」と、アメリカン・エンタープライズ研究所のエリック・セイヤーズ客員研究員は言う。「もはや中国楽観論は少数派だ」
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