韓国で、日本製バイクの販売が伸びている理由
日本製品不買運動でターゲットになった日本製バイクが、コロナの影響で販売が伸びている
<韓国で日本製品不買運動のターゲットになった日本製バイクだが、コロナの影響で販売が伸びている。その理由とは...... >
新型コロナウイルスが蔓延し、経済が萎縮する韓国で、日本製オートバイの販売が伸びている。国土交通部の二輪自動車登録台数は、2012年に200万台に達して以降、年1万台ペースで増えていたが、2020年、前年より5万2000台余り多い228万9000台に急増した。増加したオートバイの多くが輸入車で、なかでもホンダ・ヤマハ・スズキのシェアが拡大している。
日本製品不買運動に続くコロナ禍で、トヨタとレクサスが苦戦を強いられ、日産が撤退を余儀なくされたが、ホンダ・コリアは二輪車が支えているとも言われている。
商用オートバイは日本製が80%を占める
韓国のオートバイは商用利用が主流だ。首都圏など坂が多く、早くから低運賃のバス路線が発達したこともあり、自転車やオートバイが市民の足として定着することはなかった。
90年代、ホンダの技術支援を受けた大林(デリム)とスズキのライセンス生産で事業を開始した暁星(ヒョソン・現KRモータース)が、商用車を中心に年間30万台のオートバイを生産していた。
2000年代に入ると提携を解消したホンダが韓国に進出した。大林とKRモータースをホンダが追う3強体制となり、また、配達の主力がオートバイから自動車に移行して、韓国二輪自動車産業は一気に衰退した。現在、韓国のオートバイ市場は年8万台から10万台で推移するが、およそ7割が輸入車だ。
ホンダは2016年にKRモータースを抜き、19年上期には大林を抜いて1位に浮上。また、ヤマハがKRモータースを抜いて3位に浮上した。19年1月-7月期の販売台数はホンダ18200台、大林13300台、ヤマハ4500台、KRモータース3500台、スズキ2500台などとなっている(韓国二輪自動車産業協会)。
大型オートバイは、日本のホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキと欧米のBMWやハーレーダビッドソンなどが競合するが、主力の商用オートバイは日本製が80%を占めるようになった。
「ペダル(配達)文化」が発達した韓国
2019年7月、日本政府が対韓輸出管理を強化して日本製品不買運動が拡散し、オートバイも標的になった。
同年8月19日、韓国輸入二輪車環境協会がソウル市中区で日本製オートバイを破壊するパフォーマンスを行った。オートバイを燃やす計画だったが、警察署と消防署が許可しなかったため、日本製オートバイ4台を金槌で破壊した。
不買運動に加えてBMWが攻勢をかけるなどで、19年下期から20年初めにかけて、日本製オートバイの輸入額が50-60%減少したが、新型コロナウイルスの拡大に伴って、再び上昇に転じた。
韓国は「ペダル(配達)文化」が発達しており、オンラインで注文すると、あらゆる料理や食材が配達される。ライダーと呼ばれる配達員は、かつては専業が多かったが、自身の都合で注文を受けて配達するアルバイトが増えている。