最新記事
プロパガンダ

マイアミのコンド倒壊を嘲笑った中国でホテルが倒壊、それでも中国は「勝った」と主張

China, After Mocking Surfside Rescue, Hit by Hotel Collapse Disaster

2021年7月14日(水)18時02分
ジョン・フェン

2日後に同省の趙立堅(チャオ・リーチエン)報道官も同じような内容のツイートをした。「まだ生存の可能性はあるが、アメリカは国民を見放した。#フロリダ崩壊」

趙のツイート以降、少なくとも30人の犠牲者の遺体がコンドミニアムの瓦礫のなかから回収された。

ブラジルのリオデジャネイロにある中国総領事館の李楊領事の2度のツイートも、アメリカの救援活動に対する痛烈な批判だった。

「アメリカの復活?でも倒壊現場に埋まっている人々は誰も戻ってきていない!!!」と李は7月3日に書いた。

建物の解体後には、「アメリカンスタイルの人間の救助はものすごく素人臭いが、爆破は達人だ!!!」と投稿した。

中国の倒壊したホテルの瓦礫の中で最初に犠牲者が見つかったニュースの後も、蘇州とサーフサイドの現場の比較は続いた。

「中国江蘇省にあるホテルの建物が12日に倒壊。救助作業は時間との戦いになっている。死者1人を含む9人が救出された。それ以外に9人がまだ行方不明だ」と、共産党の機関紙である環球時報の胡錫進(フー・シージン)編集長はツィート。「行方不明者はマイアミの救助活動のように見捨てられはしない」と、付け加えた。

「行方不明者を見捨てずに救う中国」

中国ネチズンは反発

このメッセージは、ツイッター上で批判もあったが、胡は中国の大手ソーシャルメディアサービス新浪微博(ウェイボー)でも繰り返した。

「蘇州市のホテル倒壊には胸が張り裂けそうだ。このような恐ろしい事故は起きてはならない。起きたときは、誰もが迅速かつ効果的な救助が期待される」と、胡は書いた。

「アメリカのマイアミの建物崩壊のようなのんびりとした(対応)と、(犠牲者の)遺棄は、受け入れられない」

中国のネチズンの反応は、皮肉と軽蔑の入り混じったものだった。

ある微博ユーザーは「悲劇は祝福になった。われわれは再び勝った」と、いうメッセージを送った

「胡はすごいヤツだ。こんな悲劇的な出来事の後でさえ、彼は[中国]とアメリカとを比較し、優越感を感じることができる」と、別の人が付け加えた。

もう一人の微博ユーザーは、「それってつまり、建物の崩壊なんてたいしたことはない。中国の救助活動はなんといっても最高だ!ということか」と応じた。

中国で最も有名な英語媒体である環球時報は、サーフサイド市のコンドミニアム崩壊に関する記事を十本以上掲載した。だがこの記事の執筆時点で、同紙のウェブサイトには、蘇州で倒壊したホテルに関する記事は2本しか掲載されていない。

胡は6月27日に「マイアミのコンドミニアム崩壊後、アメリカは当局者の崩壊した説明責任を修正するだろうか」という社説を書いた。

同紙は2日後に別の記事を掲載し、こう宣言した。「マイアミのコンドミニアム崩壊ののんびりとした救助は(アメリカという)『人権の灯台』が倒壊しつつあることを示している」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 4
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 8
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中